恋とか花とか気持ちとか。 17 ページ22
籠を受け取るカラ松にそう言うと、心配そうな声が返ってくる。心配させてはいけないと元気な声で言うと、カラ松はほっとしたような顔をして、籠を持ってサッカー台に向かう。
おそ松は無言で袋詰めを手伝った。袋詰めが終わり、二人ともそれぞれ袋を一つずつ持って、さあ帰ろうかと出口に近づく。
「ありがとうございましたー」
店員から掛かってくる声を聞き流しながら、店内から出るとすぐにカラ松から呼びかけられる。
「おそ松、ほら」
「え？」
顔を向けると、カラ松の手にはハーゲンダッツのバニラがあった。目をしばたたかせて、「え、これ……」と困惑した声を出すと、そんなおそ松にカラ松は真顔で答える。
「食べたかったんだろう？ 理由はどうあれ、手伝いに来てくれたからな。マミーからもらった金は使ってないぞ？ オレの財布から出したんだからな」
「感謝しろよ」というカラ松の声が遠く聞こえた。胸にじんわりとした嬉しさが広がって、今にも飛び上がりそうだ。
(ああ、もう。こいつは本当に……)
俺が嬉しがる行動をしてくれるな、とまでは続かなかった。もういっぱいいっぱいだったからだ。
「おそ松？ いらないのか？」
いつまでも下を向いて返事をしないおそ松に訝しそうな視線を向けるカラ松。
勢いよく顔を上げ、カラ松の目をしっかり見ると満面の笑みでアイスを受け取りながら、おそ松は言った。
「いるに決まってんだろ！ ありがとなカラ松！！」
言うことはできない大好きという気持ちを込めて言うと、カラ松は目をパチクリさせ、「そうか」と言った。きっとそんなに嬉しいことなのか、とでも思っているのだろう。
おそ松は背中に羽でも生えたかのような気持ちだった。スキップでもしてしまいそうだ。手に持っている袋の重さなど気にならなくなりながら、おそ松はカラ松の隣にいることを楽しんだ。
二人は笑って話しながら、帰路を歩いた。
「ちなみに自分の分も買ったんだ。他のブラザー達には内緒にしといてくれよな」
「それでこそお前だわ」
あの後結局、カラ松はへまやらかしてバレてたんだよなー、とおそ松は思い返した。
テレビの内容などは頭に入っていなく、眺めているだけだ。お笑いの番組は終わって今はニュースが入っているのだが、そんなことにもおそ松は気づかない。
テレビを眺めながらおそ松は、続きを思い返した。
あの後。家に帰ってくると冷蔵庫に食材を詰め、終わるとカラ松は二階へ、おそ松は居間へ向かった。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
