恋とか花とか気持ちとか。 18 ページ23
居間には、トド松があの日と同じ格好でスマホを弄っていた。
「お帰りー、おそ松兄さん」
「ああ、ただいまー」
トド松に「ただいま」と返すと、パーカーのポケットに入った花のことが思い起こされる。やっぱり聞くならこいつだよな、とおそ松はトド松に聞くことにした。
「……あっ、そうそう、トド松に聞きたいことがあったんだ！ ちょっと待っててくれ！」
トド松の返事は聞かず、言いたいことだけ言って廊下へと出る。ちょっと歩くとパーカーのポケットから袋を取り出した。袋から花を取り、袋を縛ってコンパクトに纏めるとジーンズのポケットへと突っ込む。
居間へと戻ると、花を見せながらトド松に聞く。
「これ、道中で見つけたんだけど何て花？」
さらっとついた嘘にトド松は気づかず、おそ松が持っている花をまじまじと見ながら言った。
「花？ おそ松兄さんこの頃何回もボクに花のこと聞いてくるね。どんな心境の変化？」
「何回もってまだ一回しか聞いてねえよ！」
「ふーん、まだ、ねえ……」
嘘に気づかないとは言ってもおそ松の行動は目に余るらしく、追求してくるトド松。いつも通り返そうとしたおそ松だが、これから花を吐いたらトド松に花言葉を聞こう、と打算的なことを考えていたのが裏目に出て、ポロッと零してしまった。それをトド松は見逃さない。
トド松は拳銃を突きつけるかのように、人差し指をおそ松に突き出すと、意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「言え。何を企んでるの？」
おそ松はため息をつくと、口を開いた。
「ああ、隠し通そうと思ってたのによ……。……実は」
トド松がゴクリ、と唾を飲む。人差し指が震えていた。
おそ松は続きを言った。
「トト子ちゃんに花束贈ろうと思っててさ！ くっそ、トド松にはバレたくなかったのにー！」
しくじったー、と何とも悔しそうに言うと、トド松が喚く。
「はあ！？ そんなこと考えてたのおそ松兄さん！ 花に興味を持ったようだったから何企んでんだろ、とは思ってたけど、まさか兄弟を出し抜こうと考えてたなんて！」
どうやらまんまと信じてくれたらしい。心の中でほっと息を吐いて安心しながら続ける。
「頼む！ 他の奴らには内緒にしてくれ！」
軽く頭を下げ、手を合わせて頼み込むおそ松を、トド松は呆気にとられたような、呆れたような顔をして見つめた。
「顔上げて。そこまで言うなら黙っといてあげる」
しばらくして口を開いたトド松が出したのは了承の答えだった。
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チョロ松girl⊂⌒⊃ - とても、綺麗な話でした！ そして、色々と考えさせて貰いました。 (2019年7月15日 22時) (
レス) id: d9fccfe3cd (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» 少しでも貴方の考えの参考になったのなら嬉しいです。続編でもよろしくお願いします。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 紫流さん» 私は常々人の心を動かすのが物書きの仕事だと思っています。夢に一歩近づけたかな、と嬉しくなりました。こちらこそ素敵なお言葉をありがとうございます。 (2016年12月11日 18時) (レス) id: 7de9db5b63 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 今回のもとても綺麗でおもしろかったです！ (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新しいの読ませていただきました 今回のは読んでいて、あまり輪廻の話に興味がなかったんですが、来世でもその人を好きでいられるかというのは難しいと思いました。だって逢える確率の方がひくいもん、だから今精一杯の愛を！ってことかなぁと考えさせていただきました (2016年12月7日 8時) (レス) id: 1de2cb0f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aster | 作成日時：2016年8月30日 8時
