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「仕事ない」



唐突にナッペ山のジムまでやってきたかと思えば、これだ。

この六年間、失踪していたおかげで、Aは現在ニートらしく、職を探すもやりたいことが見つからないらしい。



「ハローワークでも行けば?」



とりあえずジムの中に通してすわらせた。
こないだ『さむさむ』とかほざいていたくせに、相変わらず上着を着ていない。その手のグローブも、絶対防寒用じゃないだろう。



「ニートの人にはハローワークハローワークってみんな言うけどさ、ハローワークが実際にどんなところかちゃんとわかってる? 調べたこととかあんの?」

「Aは知ってるの?」

「知りません」



いっそ清々しい物言いにため息をつきそうになった。

職が無いと言われても、それがぼくにどうこうできるわけではない。

ポケモンジムやリーグ関係の仕事は公務員扱いなので、学歴等は特に必要ないが、彼女は十四歳の頃にアカデミーを中退しているし、公務員は学歴に左右される職ではないとはいえ、さすがにその学歴は足りなすぎるだろう。




「ていうか、そもそも今までAがどんなことしてたかも知らないし。言いたくないならべつに言わなくてもいいけどさ」

「なんか……ポケモンの調査的なことやってた」



わりとあっさり答えたAに拍子抜けする。

どこで、誰と、何をしていた、というのが自分の訊きたいことだとするなら、Aにとって答えるのが嫌なのは、どこで、誰と……の部分だろうか。



「ポケモンの調査ね……」



Aらしいとは思う。

ポケモンが好きで、ポケモンに何かしらの興味や疑問を抱けば即行動して調べるような子供だったから。
真っ当に生きていれば、今頃ポケモン博士のタマゴにでもなっていたんじゃないかとさえ。



「……あ」



あることを思い出し、思わず声を上げる。
現在ニートまっしぐらのAが、一縷(いちる)の希望に縋るかのようにパッと顔を上げた。



「ポケモンの調査だったら、それに精通してそうな人、一応知ってるよ」



_____
【本日の言葉】
XYから剣盾まで、ずっと水御三家ばかり選んできた。
しかしアルセウスでヒノアラシを選び、SVではホゲータにハートを射抜かれた。私の中の何かが炎御三家に移り変わりつつある。



ていうか、今日ポケモンプレゼンツですよ!
23:00から! 絶対みます!

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年2月25日 23時

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