・ ページ38
*
テラスタルしたクワッスの水技の威力はとんでもなくて、バトルが終わるのが一瞬のように思えるほどだった。
これが、テラスタル。ポケモンの体が宝石化し、テラスタイプの技の威力が高まる……。
スター団の人達は、負けるや否やスタコラサッサと去っていった……。
「さっすがアオイ! テラスタルもいい感じ!テラスタイプと同じタイプの技は更に強くなる! たまに全然違うタイプにテラスタルするポケモンもいるから、戦略の幅がうんと広がるよ! テラスタルするとしばらく使えないから、ポケモンセンターでチャージしてね!」
「へー……。テラスタルって、なんか不思議だね」
ガラルのダイマックスは一部の場所でしかできなかったけど、テラスタルはオーブがチャージされてさえいればいつでもどこでもテラスタルできるらしい。
「あっ、あの!」
「ん?」
振り返ると、さっきスター団に絡まれていて(たぶん)迷惑していた女の子が俯きがちに立っていた。
「えと……ありがとうございました。…………先、行くんで」
「あっ」
早口でそう言って、女の子は走って階段を上っていく。
私はすうっと息を吸った。
「階段気をつけてねーー!!!」
これは確実に声が届いただろう。あの灯台の少年と違って。
「アオイ偉い! 人助けしてたんだね」
「え〜いや〜それ程でも……痛ッ!?」
ゲシッと軽く足を蹴られた。
言うほど痛くはないが、でも女の子を蹴るなんてどうかしていると思う。
「ハ〜ル〜ト〜……」
ようやくここまで来たらしいハルトが、私の足を蹴った。
そんなんじゃ、女の子にモテないぞ。
「すぐ調子に乗るんだから、お前は」
「いやでも私、さっき偉かったじゃん!」
「ガラルのトレーナーズスクールでも人助けして調子に乗ったその直後、階段から落ちて全治一ヶ月の怪我を負ったのは誰だよ」
「なんでバラすの!?」
ハルトとわーわーぎゃーぎゃー騒いでいると、ネモがおかしそうに
「二人って、ホント仲いいんだね」
「仲いい……?」
「悪くはないけど」
「ナカイイ……?」
「仲いいよ〜」
私とハルトが口々に言う中で、ネモだけがハッキリとそう言った。
「私もお姉ちゃんいるけど、二人みたいに人目も
51人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年2月25日 23時