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テラスタルしたクワッスの水技の威力はとんでもなくて、バトルが終わるのが一瞬のように思えるほどだった。

これが、テラスタル。ポケモンの体が宝石化し、テラスタイプの技の威力が高まる……。


スター団の人達は、負けるや否やスタコラサッサと去っていった……。



「さっすがアオイ! テラスタルもいい感じ!テラスタイプと同じタイプの技は更に強くなる! たまに全然違うタイプにテラスタルするポケモンもいるから、戦略の幅がうんと広がるよ! テラスタルするとしばらく使えないから、ポケモンセンターでチャージしてね!」

「へー……。テラスタルって、なんか不思議だね」



ガラルのダイマックスは一部の場所でしかできなかったけど、テラスタルはオーブがチャージされてさえいればいつでもどこでもテラスタルできるらしい。



「あっ、あの!」

「ん?」



振り返ると、さっきスター団に絡まれていて(たぶん)迷惑していた女の子が俯きがちに立っていた。



「えと……ありがとうございました。…………先、行くんで」

「あっ」



早口でそう言って、女の子は走って階段を上っていく。
私はすうっと息を吸った。



「階段気をつけてねーー!!!」



これは確実に声が届いただろう。あの灯台の少年と違って。



「アオイ偉い! 人助けしてたんだね」

「え〜いや〜それ程でも……痛ッ!?」



ゲシッと軽く足を蹴られた。
言うほど痛くはないが、でも女の子を蹴るなんてどうかしていると思う。



「ハ〜ル〜ト〜……」



ようやくここまで来たらしいハルトが、私の足を蹴った。
そんなんじゃ、女の子にモテないぞ。



「すぐ調子に乗るんだから、お前は」

「いやでも私、さっき偉かったじゃん!」

「ガラルのトレーナーズスクールでも人助けして調子に乗ったその直後、階段から落ちて全治一ヶ月の怪我を負ったのは誰だよ」

「なんでバラすの!?」



ハルトとわーわーぎゃーぎゃー騒いでいると、ネモがおかしそうに口許(くちもと)を綻ばせた。



「二人って、ホント仲いいんだね」

「仲いい……?」

「悪くはないけど」

「ナカイイ……?」

「仲いいよ〜」



私とハルトが口々に言う中で、ネモだけがハッキリとそう言った。



「私もお姉ちゃんいるけど、二人みたいに人目も(はばか)らずに口喧嘩できるほど仲良くないもん。口喧嘩って、少なくとも信頼関係がないとできないことなんじゃないかな」

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年2月25日 23時

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