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ふと上を見上げると、洞窟の上の足場に、デルビルの進化系であるヘルガーが静かにぼくと謎のポケモンを見下ろしているのが見えた。
ひゅっと喉から乾いた音が出たが、こっちを襲ってくる気配は無い。逃げるが勝ちだ、と思い、何も見ていないふりをしてそそくさと立ち去る。
心臓が波打っているのが、胸に手を当てなくてもわかる。
しばらく進んでいくと、大分開けたところに出た。
「疲れてないか？」
「アギャアス」
声をかけると、ポケモンは問題なさそうに鳴き声をあげた。……しかし、気のせいだろうか。なんとなく、嫌な予感がする。
「ハルト！ 気をつけて、何か来てるよ……！」
「え」
ネモの声が聞こえて、キョロキョロと左右を見るが、何もいない。そして前にもいない。……としたら……。
「後ろ！ 後ろー！！」
ネモの焦った声が聞こえ、後ろを見ると、さっき見たヘルガーが後ろから来ていた。
やばいやばいやばいと脳が
明らかにレベルも高いし、ホゲータ一匹では勝てない。何より、技の通りだって悪い。
いや、でも今まで通った道に水タイプも格闘タイプもいなかったし！ と心の中で意味の無い言い訳をする。
「ルガァー！」
ヘルガーが威嚇をするように鳴き声をあげると、突然腰のモンスターボールが揺れ始めた。
そして、そのモンスターボールから中のポケモンが飛び出す。
「ほげーに！」
「ホゲータ！ ダメだ、戻れ！」
わかっている。優しいポケモンだから、守ろうとしてくれているのだろう。でも、危ないにも程がある。
ヘルガーがホゲータに襲いかかった。
急いでモンスターボールを手に取り、ヘルガーの攻撃が当たる寸前、ぎりぎりで無理やりホゲータをボールに戻すことに成功した。
攻撃が空ぶったヘルガーはこっちを睨んだが、代わりに謎のポケモンが前に出てヘルガーを弾き飛ばす。
壁を壊した時といい今といい、相変わらずとんでもない力だ。
洞窟内にヘルガーの雄叫びが轟く。
ヘルガーの後ろから複数の足音が聞こえてきたかと思うと、デルビルの大群が走ってくる。
デルビルの群れ。あの群れを束ねているのが、あのヘルガーということだ。
あっという間にデルビルに囲まれてしまい、唇を噛む。
手中のモンスターボールが反抗するように揺れているが、それを抑えるためにぎゅっとモンスターボールを握る。
さすがにこの数は無理がある。生き物は、不用意に傷つけたくない。
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年2月25日 23時
