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「どうしようかな。何の研究しよう。うーん、やっぱり……アレかな」
勝手にジムに居座り、研究内容を思案するA。
……やはり、ポケモンのことを考えているときの彼女が一番活き活きとしている。六年前もそうだった。
今のAは少しだけ、六年前と似ている。
「一番謎なのは、テラスタルだよね。世界にはダイマックスとかメガシンカとかZ技とか、一時的にポケモンの能力を高める現象はいくつも確認されてる。でも、あれらとテラスタルには、決定的に違う部分がある」
「違う部分？」
「テラスタルすると、複合タイプ……たとえば、マリルリだったら元々は水・フェアリータイプなのが、フェアリーにテラスタルすると、水タイプが消えちゃうでしょ。
もっと言えば、グルーシャのチルタリスなんかはテラスタルすることで、本来のドラゴン・飛行タイプが全部なくなって氷単タイプになる」
至って冷静な顔で、斜め上を見ながら思い出すようにAが言う。……こういうところは、昔と変わった部分みたいだ。
「ダイマックスはポケモンの体力が大幅に増え、技の威力も上がるだけでポケモンのタイプ自体は変わらない。Z技も同じ。ポケモンの覚える技によってはどんなタイプのZ技も打てるけど、これもポケモンのタイプが変わるわけじゃない」
「メガシンカは？」
「メガシンカは、一部タイプが変わるポケモンは一定数いるみたい。たとえば、チルタリスとかはメガシンカすると飛行タイプがフェアリータイプになったりね。
でも、メガシンカはポケモンの古代の姿に近いっていう研究結果もあるし、多少のタイプのズレは違和感じゃない。それに、テラスタルとは違って、メガシンカすることで
「……」
長い話な上、Aも自分が話したいから話しているという感じで、真面目に聞く気が起きず、少しボーッとしてしまった。バレないようにゆっくりと視線を戻す。
……えっと、なんて言ってたんだっけか……。
「……え？」
「テラスタルは、ポケモンの力を増強させるのとは、ちょっと効果が違う気がする」
ぼくの声はAには聞こえていないようで、Aがそのまま続けた。そこには、畏怖のような感情が乗っていた気もする。
「そういう単純明快に片付けられるものなんかじゃなくて……もっと、なんかこう……人間の力では片付けられないような、何かって感じ……」
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年2月25日 23時
