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「……秘伝スパイスってのを採りに行くんだ。意外かもしれねえけど、料理とか得意だから」

「あら! それはそれは……」



興味。そして好奇心。それらが絡み合った結果なのか、先程までの不気味ではあったが穏やかな雰囲気はどこへやら、だんだんと無邪気な子供のように、女の表情(かお)が変貌していく。



「だとすると、強いトレーナーの協力は必須ですね!」



何故か嬉しそうにしている。……興味や好奇心というよりも、おれが強いトレーナーと関わるしかないこの状況を、嬉しがっているかのような。



「そうだけど……もしかしてアンタ」

「頑張ってください!」



アンタが手伝ってくれるのか___。そう期待したおれが馬鹿だったらしい。この女は、協力する気ゼロだ。



「強いトレーナーは知り合いにいますけど、ジムリーダーなので、残念ながら暇じゃないんです」



おれの心の内を読んだかのように女が言った。
そして、蝶のイヤーカフを指でいじりながら、目を細める。



「でも、大丈夫ですよ。人って必ず、運命があるので。……それが良いか悪いかは、関わってみないとわからないんですけどね」

「アンタは、悪い関わりって持ったことあるか?」

「ありますよ。ただ、悪いことばかりではなかったとも思います。人生そんなもんです。その一瞬一瞬がどんなにつらくても、一ヶ月、半年、一年も経てば、意外と何もかもどうでも良くなってることの方が多いです。……もちろん、その程度では癒えない傷があるのも事実ですけど。……さて、私もう行きます。健闘を祈りますよ」



そう言って女が踵を返して、研究所のドアを開けた。再び振り向くと、女は笑って最後にこう言った。



「ボン・ボヤージュ!」

〈三章〉ツンドラは延々と→←・



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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2023年2月25日 23時

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