34話 ページ36
一松「…渡辺さん」
一松はすぐに彼女のところへ駆け寄ると、様子を見るために腰を下ろした。
地面に座っている彼女の表情は、髪でよく見えない。
一松「怪我、ない?」
Aはこくりと頷いた。
カタカタと震え、ようやく顔をあげた彼女は今にも泣き出しそう表情をしていた。
「こ…怖かったぁ…」
安心して涙を流す彼女を見て、一松は目を見開いた。
彼女を傷つけてしまった…。
いつも笑顔の彼女を、こんな風に泣かした男に殺意を覚えたが、もっと早く助けられなかった自分に一番腹が立った。
ギュッ
気付いた時には彼女を抱きしめていた。
「!?」
Aはビクッと肩を揺らしたが、恐る恐る一松の背中に腕を回した。
少し震える手の振動が肩に伝わった。
こんな時、俺はどうすればいいのか分からなかったが
幼い頃…兄さんに泣きついた時、頭を撫でてもらったことを思い出した。
それを彼女にも同じことをしよう。
一松は優しくAの頭を撫でた。
すると、心なしか彼女の表情は和らいだ気がした。
一松「…ごめん」
「な、何で松野さんが謝るんですか…」
一松「…早く助けに来れなかった」
一松は悔しさで顔を歪めた。
その言葉に「違います!!」とAは首を横に振った。
「そんなことないです!!助けてくれただけで…凄く嬉しいです!!まさか、松野さんが助けに来てくれるなんて思ってもみなかったので…」
Aは手で目を擦った。
まだ涙が止まらないのか、頬に涙が伝った。
俺は普段ハンカチとか持ってないから、涙を拭けない…。
トド松なら持ってるだろうけど。
一松「もう泣かないで…」
一松は小さく呟くと、愛おしそうに彼女の髪を撫でた。
(俺の前でそんな表情しないで…)
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庵茱(プロフ) - こ、更新されましたか……?ありがとうございます、ずっと待っていました (2018年9月9日 3時) (レス) id: 9d4ec62492 (このIDを非表示/違反報告)
水 - 早く更新してー (2017年6月22日 17時) (レス) id: f2ccda5e36 (このIDを非表示/違反報告)
みみか - あの、、はやく更新して。楽しみだし///変なところで終わらないで・・・・(^∀^#) (2016年9月24日 13時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこふぁ - はああ〜!!面白いっ!!更新楽しみにしてます!! (2016年8月27日 14時) (レス) id: e2cb741d4e (このIDを非表示/違反報告)
しゅみい - めっちゃ面白かったです!!更新楽しみにしています(^^)!! (2016年8月8日 19時) (レス) id: 29d4621366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:annku | 作成日時:2015年11月4日 19時