侍は心配する ページ3
「Aちゃん!」
鈴のような声に呼び止められて、私は振り返った。
「あんずちゃん?どうしたの?」
七川あんずちゃん。私よりも数ヵ月先にプロデュース科に来ていたとても優しくて可愛らしい天使のような子だ。
あんずちゃんは首をかしげて申し訳なさそうに言う。
「ごめんね、Aちゃん。今日の紅月のプロデュース、変わってもらってもいい!?」
「え?どうしたの?」
「それが…今日、予防注射の予約をお母さんが勝手に入れちゃってたらしくて…すぐに帰らなきゃいけなくなっちゃって…」
「予防注射!?うわ〜、痛そうだ…!うん、いいよ!私今日は何にも無いし!」
そう言うと、ありがとう!じゃあ、よろしくね!と言って慌ただしく帰っていった。
「予防注射かぁ…私もそろそろかな…嫌だ…」
一人残された私はそうごちて、紅月のレッスン場所に向かった。
敬「………………遅い」
「実にすみません…」
レッスン室に着くなり蓮巳先輩に怒られてしまった。
紅「よぅ、無事だったか嬢ちゃん。あんまり遅いから何かあったのかと思っちまったぜ」
「うう…すみません、ご迷惑おかけしました」
神「ま、まぁまぁ蓮巳殿。A殿もこう言っておるし、そろそろ…」
敬「しかし、30分も理由なく遅刻などあり得んだろう…プロデューサーとしてどうなんだ?」
…………え?30分?
私があんずちゃんに言われたのはつい十分前の事だ。
ということは…
「すみません、以後気を付けます」
ぺこりと頭を下げると蓮巳先輩はため息をついて度しがたい、と呟いた。
何とかプロデュースを終え、帰ろうとしたとき颯馬くんが私を呼び止め、真剣な顔でこう聞いた。
神「…A殿」
「ん?」
神「今日の遅刻…本当にA殿のミスであるか?」
「うん、そうだよ。時間勘違いしてて。 …ごめんね、待たせて」
神「…そう、であるか」
颯馬君がとてもとても心配そうな顔をしているのを知らず、私は今度こそレッスン室を後にした。
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
十六夜 - 面白いです!続きが早く読みたいです! (2019年9月12日 15時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 面白かったです!続きが気になります!頑張ってください!応援してます! (2019年8月25日 17時) (レス) id: c87e668401 (このIDを非表示/違反報告)
ともえ(プロフ) - 面白かったです!更新して欲しいです!続きが読みたいです! (2019年2月5日 0時) (レス) id: 3030554e8b (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - タピオカさん» あぁあ!!ありがとうございます!直しました! (2017年12月26日 8時) (レス) id: 439ff41d77 (このIDを非表示/違反報告)
タピオカ(プロフ) - 面白いです!これからも更新頑張ってください!!あと、神崎くんは相馬ではなく、颯馬ですよ! (2017年12月25日 21時) (レス) id: b4bb0f76b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かにかま | 作成日時:2017年12月24日 23時