お見通しの彼 ページ19
ーー翌日。
ア「A!」
『…!アレンくん!』
食堂で1人朝食をとっていたAのもとに、アレンが声をかける。
彼は任務帰りなのだろう、頬や腕に所々治療された痕跡が見える。
『おかえりなさい!一緒に食べよ〜』
ア「ただいま!ちょうど会えて良かったです!」
2人は向かい合わせに座り、話をはずませながら食事を進めた。
〜〜
ーーお互い朝食を食べ終わった後、アレンが微笑みながら口を開いた。
ア「…元気そうでよかったです、A」
『…へ?』
ア「一時期、部屋にこもってしまっていましたし、その後もあまり元気がなさそうに見えたから…心配だったんですよ」
『…やっぱりそう見えちゃったかあ。ごめんね、心配かけて…』
ア「いえ、全然気にしないでください。…むしろ最近はいつも通りに戻ってきたみたいで安心しました!」
『…うん!』
ア「ーーあれから、ラビとは話したんですか?」
『…!?…えっ?』
突然ふられた予想外の質問に、Aは思わず固まってしまう。その一方で、アレンはクスリと笑っていた。
ア「なんとなくわかっていましたよ。…ラビと喧嘩か何か、してるんですよね?」
『…あ、アレンくん…すごいなあ…』
ア「ふふ、2人の様子を見ていたらそう見えたので。…どちらも僕にとっては大事な人だから、またいつも通りに戻ってほしいな、って思ってるんですよ」
『…うん…。』
ア「Aのことです、ラビに怒っているのにもちゃんと理由があるんですよね。…それでも、2人で話さずにいたら何も解決しませんよ。
…無理せずゆっくりでいいので、ちゃんと彼にAの思っていることを伝えましょう!僕も手助けしますから!」
『アレンくん…』
彼の笑顔と言葉にこうやって励まされるのは何度目だろうか。
ーー今回ばかりは自分とラビの問題であったので、彼女は自分だけでなんとかしようと考えていた。
2人の喧嘩によって、他の仲間達を巻き込んだり、心配をかけたりしたくなかったのだ。
ーーそれでも、彼にはお見通しのようだった。
結局、彼がいなければ前に進めないのだな、と彼女は痛く感じた。
『…そうだね。私も、頑固なままでいちゃいけない…何も言わずにいてもだめだよね』
小さく笑って、アレンの方を見た。
『…今度、私から声をかけてみるよ!』
ア「はい!Aならきっと大丈夫ですよ」
ーーちょうどその時、ゴーレムからアナウンスが入った。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時