今日:29 hit、昨日:26 hit、合計:43,269 hit
小｜中｜大
38.side:ｴﾊﾞｰｸﾞﾘｰﾝ ページ42
妙な沈黙が流れ、落ち着かない
そんな空気を慌ただしい足音が遮った
「A！」
駆け足で現れたのはエルザだ
石化が解けてからまだ幾らも経っていないのに到着が早すぎる気がして、Aと揃って首を傾げる
が、Aは早々に考えるのを止めた様子で「後は任せるわ」と立ち去ろうとしていた
「A、ラクサスの居場所は分かっているのか？」
「知らないし、ラクサスとの戦闘はパス」
足も止めずあっさりと拒否したAにエルザが反論する
「何故だ！ラクサスは妖精の尻尾を乗っ取るつもりなんだぞ！
お前の実力ならアイツを止められるんじゃないのか！？」
確かにAの実力はラクサスも認めているし、落ち着いた今の状態であれば私ですら一番可能性があるように思える
しかし、顔だけ振り向いたAは相も変わらず欠片の興味も感じさせない表情をしていた
「エルザがやればいいじゃない
私はフリードを探すわ」
その上こう言われれば納得するしかないだろう
フリードの術式を破ることもまた、早い方が良いのは明らか...
その時突然、ラクサスの声が響いた
「来いよ、“ヴァルト”」
(ヴァルト...？)
聞いたことのない名前だった
エルザも同じく首を傾げている
Aは表情を変えずただ声を追うように視線を宙に向けていた
そして用は済んだとばかりに再びこちらに背を向け今度こそ歩き去っていった
残ったエルザからはラクサスの居場所を聞かれたが、嫌がらせに男湯を指定してやった
たぶん、アホだから素直に引っ掛かってくれるだろう、と舌を出してその背を見送った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：金城にこ | 作成日時：2017年1月15日 19時
