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第4話 『面影』 ページ4

和人「つまり、俺たちの事を認めて下さる……んですか?」

俺が恐る恐る口を開くと、房枝さんは心外だ、とでも言いたげに胸を張った。

房枝「あら、私貴方達の事を認めないだなんて、一言も言った覚えは無くってよ?」

思わず全身の力が抜けた。腕の中に居るAも同じだったのだろう。俺に全身を預け、安堵の息を洩らしていた。

房枝「まあ、さっきの言葉で誤解しちゃうのも無理ないわね。ごめんなさい。……話を戻すと、二人の入る予定だったSAO事件の被害者を集めた高校に、一年間だけAは違う新設校へ行ってもらおうと思っているの」

一年間。たった一年間、されど一年間、俺たちは、離れ離れになる。

途切れた房枝さんの言葉に、顔を見合わせる俺たち。Aの金色の瞳は、動揺と困惑、そしてほんの少しの悲哀が浮かび上がり、不安そうに揺れていた。

唇を噛み締め、Aを包む腕によりいっそう力を込めて。俺は言った。

和人「……離れる事に、何か意味があるのですか? 態々、一年間も?」

俺の言葉に房枝さんは、重苦しい雰囲気を取っ払うようににこりと笑って口を開いた。

房枝「ええ。先程言った家柄の話なのだけれど、桐ヶ谷くんには、Aと離れている一年間、Aとの結婚に必要な教養を身につけて貰うわ。それこそ、家柄なんか問題にならないくらいにね。それと、一年間Aと離れ離れになっても、Aだけを想い続けられるかどうか。まあ、これなら桐ヶ谷くんなら問題無いわね」

至極嬉しそうに、房枝さんは笑った。その笑顔はやはりどこか、Aの面影があった。

房枝「つまりは桐ヶ谷くんに、周りのAの婚約者気取りの……こほん。婚約者候補たちを蹴散らせるくらいの教養と、Aへの愛情を、Aをつけ狙う阿呆共……こほん。親戚たちに見せつけて欲しい、っていう訳なの」

時々物騒な言葉が聞こえた気がしたがそれは敢えてスルーしておこう。

『お母さん……!』

Aは感極まった様子で微笑んだ。心底から房枝さんに感謝しているのだろう。俺にもその笑みが移ってしまった。

房枝「……娘だもの。自分の旦那さんは自分の好きな人になって欲しいわよ。……ありがとう、桐ヶ谷くん。娘と一緒になってくれて。__娘を、愛してくれて」



__本当に……ありがとう……__

第5話 『ロケットペンダント』→←第3話 『何処まででも』



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ゆのん(プロフ) - 更新待ってます! (3月15日 14時) (レス) @page14 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年3月2日 11時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 今井 明希さん» コメントありがとうございます。読者の皆様のお言葉に甘えまくっている現状に、無理せずという言葉嬉しかったです。これからもご愛読のほどよろしくお願い致します。 (2020年2月2日 6時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - SAOも好きなのですが、黒バスも好きです!レイさん、更新無理せず、頑張ってください! (2020年2月2日 4時) (レス) id: efc9537302 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - CaLMeさん» コメントありがとうございます。私事優先と仰って下さり、作者は少なからず救われております。これからも応援よろしくお願い致します。 (2019年9月5日 16時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイ | 作成日時:2018年5月26日 14時

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