第14話 『ご相伴にあずかります』 ページ14
火神「ここが俺の家だ。いつでも遊びに来ていいぜ」
そう言って足を止めた大我が指さした先には、私の両親が借りたというアパートと酷似した建物があった。
『こんな偶然あるのね……』
火神「ん? どうした?」
『いえ、私の家もここなのよ』
火神「……マジか!?」
こんな偶然あんのなー、なんて笑い飛ばした大我。それにつられて笑いながら私たちはアパートのエントランスを通りすぎ、エレベーターに乗った。
さらに話を聞けば、同じ階、隣の部屋だということがわかった。偶然にしてはすごいなぁ、と感嘆にも近いため息を洩らし、部屋の鍵を開ける。
『また明日ね、大我』
おやすみ、と続けて言おうとした、その時。
火神「なぁ、もう荷解き終わってんのか?」
『え? まだだけど……』
火神「なら、ウチで飯食ってけよ。荷解きしながらだと遅くなんだろ」
『えぇ!? 大我料理できたの!?』
火神「一人暮らしなんだから当たり前だろ? 失礼だな!」
驚いた。大我の性格からして料理なんてできないと思っていたから。しかし義弟の料理というなんとも魅力的なことを聞いてしまったからには、そのまま部屋に入るなんて選択肢は私の中から消えてなくなった。
『ごめんごめん! じゃあお言葉に甘えてご相伴にあずかります』
私がいえば、大我は少しの間首を傾げてから頷いた。……まさかとは思うが、まだ日本語があやふやなままなのか。
『……大我、よく誠凛受かったわね……』
火神「ん? なんか言ったか?」
なんでもないわ、と返し、大我のあとに続く。廊下を真っ直ぐ歩いた突き当たり、リビングは大我の性格がそのまま部屋になったような、家具が必要最低限に揃えられたさっぱりとしたものだった。
小ぶりなガラステーブルに二人ほど並んで座れるローソファー。リビングと廊下を繋ぐ扉の右手にはステレオコンポが乗せられたバスケ関連の雑誌が並べられた棚。左手には無骨なスチールラックに筋トレ用具やバスケットボール。真正面に据えられた対面型キッチンも遠目から見ても散らかっている様子は欠けらも無い。
大我「アレルギーなかったよな? 薬とか大丈夫か?」
『あ、うん。薬は帰ってから飲むから平気よ』
大我「量は食べれそうか?」
『うーん……食べなさいとは言われてるんだけどね……』
大我「じゃあ、少なめか。ソファーにでも座って待っててくれ。すぐできるからよ」
『はーい』
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ゆのん(プロフ) - 更新待ってます! (3月15日 14時) (レス) @page14 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年3月2日 11時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 今井 明希さん» コメントありがとうございます。読者の皆様のお言葉に甘えまくっている現状に、無理せずという言葉嬉しかったです。これからもご愛読のほどよろしくお願い致します。 (2020年2月2日 6時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - SAOも好きなのですが、黒バスも好きです!レイさん、更新無理せず、頑張ってください! (2020年2月2日 4時) (レス) id: efc9537302 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - CaLMeさん» コメントありがとうございます。私事優先と仰って下さり、作者は少なからず救われております。これからも応援よろしくお願い致します。 (2019年9月5日 16時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2018年5月26日 14時