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第13話 『アイツの代わりに』 ページ13

テツヤくんが平静を取り戻せなかったからか、その日の練習は途中までで切り上げてしまった。

私が申し訳なさで肩を落としていると、リコちゃんは何でもないように笑って言った。

「大丈夫よ! 明日の練習は倍にさせるつもりだったからその為の休憩と思えば、ね!」

彼女の後ろで一気に顔を青くする部員を目にし、別の意味で申し訳なくなった。

帰り道。心配してくれているのか、まだ私がいることを信じきれていないのかは分からないが、テツヤくんが私の家まで送ると言って聞かなかった。しかし流石にそれは遠慮して、また学校で会う事を約束し、駅までは一緒に大我と並んで歩いた。

同じ電車に乗り込んだ大我にふと訊ねられた。

大我「最寄りどこだ?」

『__駅だよ』

大我「同じじゃねーか。俺がアイツの代わりに送ってってやるよ」

アイツ、とは、テツヤくんの事で間違いないだろう。

変わらない彼の優しさに、胸の中に暖かいものを感じつつ言った。

『方向が同じだったらお願いするね』

大我「最寄りが同じなら大して離れてねーだろ」

その後。電車も降りて、改札を抜けて。本当に方向が同じだったらしく並んで歩きながら、大我は学校で再会した時にしてくれた話を、もっと細かく教えてくれた。

キセキの世代と言われている、バスケの頂点に君臨する五人を、テツヤくんと力を合わせて倒すことを決めたこと。

高校に入って初めての練習試合で、何の縁かキセキの世代の一人が所属している海常高校が相手だったこと。

キセキの世代の一人である《黄瀬》くんがものすごく強かったこと。

相手の他の選手もなかなかの粒ぞろいで誠凛高校の皆が苦戦させられたこと。

苦戦しながらも最後はブザービーターで辛くも勝利を掴んだこと。

話している時の大我の瞳は、アメリカで見ていた頃のものと何ら変わりない、幼い子供が宿す光を輝かせていた。

大我「次はインターハイで他のキセキの世代全員ぶっ倒す! ……お?」

『……どうしたの?』

大我「そういや、駅からずっと俺ん家に向かってるけど、道大丈夫か? こっちでいいのか?」

『そういえば、そうね。ふふ、大我ってば話に夢中だったから』

大我「す、すまね……」

『ふふふ、大丈夫よ。私も同じ道だから』

大我「なら、いいんだけどよ……」

第14話 『ご相伴にあずかります』→←第12話 『取り乱した理由』



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ゆのん(プロフ) - 更新待ってます! (3月15日 14時) (レス) @page14 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年3月2日 11時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 今井 明希さん» コメントありがとうございます。読者の皆様のお言葉に甘えまくっている現状に、無理せずという言葉嬉しかったです。これからもご愛読のほどよろしくお願い致します。 (2020年2月2日 6時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - SAOも好きなのですが、黒バスも好きです!レイさん、更新無理せず、頑張ってください! (2020年2月2日 4時) (レス) id: efc9537302 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - CaLMeさん» コメントありがとうございます。私事優先と仰って下さり、作者は少なからず救われております。これからも応援よろしくお願い致します。 (2019年9月5日 16時) (レス) id: 3f41551ffd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイ | 作成日時:2018年5月26日 14時

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