なんか、valkyrieに仁兎なずなの妹いるんだけど。 (ページ7)

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5話ページ7

「……………………？」

おかしいな。

僕が今立っているのは、彼女が歌っていた窓の部屋だ。

４階の、左から数えて6番目の窓。

何度も何度も確認したはずだけど、何度見ても、

『手芸室』

としか書かれていない。

もしかして、斎宮君の子なのかい？

でも、斎宮君の子は、仁兎君が脱退したから影片……とかいう子だけだった気がするんだけど。

半信半疑で、その扉を開けてみた。

キィ、と扉が開く。

そこには、月光のように華麗な髪色の彼女が、ちくちくと裁縫を縫っている。

「あら、早かったのね斎宮さん。影片さんは見つかったの………………………………どなた？」

現代のJKらしからぬ、淑女のような口調。

なかなかこんな子いないから、ちょっぴり驚いた。

大きくてクリッとした赤い目が、僕を捉えた。

最初こそ顔を上げなかったが、彼女が顔を上げて僕を見た瞬間、きょとんとした表情になる。

「ああ、……すまないね、僕は斎宮君の知り合いだよ。そう警戒しないで。」

ふふっと笑ってこう言ってみせた。

間違ってはいない。斎宮君とは知り合いだし、怪しい者でもない。

「まぁ、斎宮さんにご用事？ごめんなさいね、彼、今ちょっと出かけてるの。すぐ戻ってくると思うから、ここに掛けていらしたら？」

彼女は立ち上がって、僕を招き入れてくれた。

危ないなぁ斎宮君の名前を出せば君はホイホイ中に入れちゃうのかい？

斎宮君に見つかったら、ただじゃすまなそう。

まぁそれはそれで面白そうだけど。

僕の後ろで紅茶を入れてる少女の背中を見る。

背が低くて、華奢な肩。

綺麗に伸びたイチョウ色の髪。

細くて均等のとれた脚。

なるほど、斎宮君が傍におくのも分かる気がする。

「お待ちどうさま。ジャスミンティーはお好き？」

カチャ、と僕が座ってるテーブルに紅茶を置いてくれた。

「ああ、好きだよ。悪いね、急に来たのに用意して貰って。」

「ふふっいいのよ。お客さんをもてなすのは当たり前だもの。紅茶、熱いからお気をつけて。」

少女の声は独特だ。

なんかこう、言葉で言い表すことの出来ない声と言うか、

言うなれば小鳥のような声？

とにかくとても耳に心地よい声だ。

1口、紅茶を口にしてみると、ジャスミンの香りがふわりとし、お茶の温度も冷ましてくれたのかちょうど良くていい。