口癖 -3- (ページ4)

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side A

いや、でも

それだけじゃないんだよ。

昨日翔ちゃんが、貴方を見て、

「ふふ、そっか」

彼に伝えるのはやめた。

余計なことを伝えなくていいと思った。

状態も良さそうだし、

本当に考えないようにするんだろうと思えたから。

「何かあったら連絡してね、今日誰がいつ顔出すかわかんないから」

「うん、ありがとう」

「じゃあ、」

手を肩らへんに上げ、

じゃあ、と部屋を後にすると合図しながら背を向ける。

「うん、相葉くんも仕事がんばって」

やわらかい、綺麗な声で返ってきたそれに

ふと、意識が引っ張られる。

「ん？」

なに？と不思議そうな彼を見つめる。

俺は今、どうして振り返ったんだろう。

何か、意識を引っ張る何かがあったはずなんだけど。

「……ううん、じゃあね、ありがとう」

自分の行動の理由がわからなくて、

何かがわからなくて。

笑みを浮かべて、部屋を後にした。

昨夜の翔ちゃんと同じだと、

文字で聞いただけなのにそう思った。

説明できないんだ。

どうして振り返ったのか、何に引っかかったのか。