【瀬名泉】 過保護のセナくん 【完】

16.ハサミ ページ17

『ちゃっちゃら〜』

「あら、素敵な衣装じゃないの!!」

「ふわふわだねぇ……♪」


赤色がベースのKnights新衣装。確かにウチでは珍しい色だけど……それを着こなしてこそのアイドルってやつでしょぉ？


『細かいところ調整したいから
今着てみて〜』

「素敵です！
私の髪色とお揃いでとてもhappyです！」

「お、ス〜ちゃん似合ってんじゃん」

「ありがとうございます！」


破かないように慎重に、いつもより丁寧に袖を通す。今まで色々な衣装を着てきたけど、やっぱりこの瞬間はちょっと緊張するんだよね。


「ちょっと裾の糸出てるかなぁ。
大して気にならないけどさ」

『ちぎる？』

「ちぎらない!!
ハサミ持ってるから切っておくよぉ？」


授業で使う用の大きなハサミじゃなくて、手芸屋さんで売っているような小さなハサミ。糸切ったり枝毛切ったりて意外と便利なんだよねぇ


「サイズはピッタリだから問題ないよ」

「私もです！」

「さすがAちゃんね！」


衣装をたたんで、ケースにしまう。基本的に学校で保管してくれるから、家のクローゼットに余裕が出来て助かるよね。私服だけでも量が多いから。


『あっ、いずくんちょっと後ろ向いて』

「え、なに？」

『制服の襟ほつれてたよ
なおしておいたから』

「うそぉ！？」


俺としたことがそんなことにも気づかないなんて。……なんか今日は、いつもと役割が違う気がするけど。たまにはこんな日もありかなぁ。

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