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あまりにはっきりと言葉にされて、逃げ場を失った和泉の胸はきりきりと痛んだ。
せめて泣かないようにするのに精一杯な和泉の肩を抱いたまま、緋那は赤司を睨みつける。


「どうしてそんな事を黙ってた?」
「無用な混乱を避けるためだ」


歯牙にもかけず、赤司は続けた。


「そう結論を急くな、小原。この件にはまだ続きがある」
「続き……?」
「春休み中、入る予定の寮が誠凛から洛山に変更されただろう」


通常は、高校からの生徒は合格通知、内部進学の生徒は中等部の卒業証書と共に、どの寮に割り当てられたかの通知がされる。
春休みの間に、生徒は各々、入寮への準備を整えるのだ。

和泉と緋那もそれに倣って、誠凛寮に入る準備を着々と進めていた。
しかし春休みの途中、急遽洛山への移動が決まり、部屋に合わせた収納などを買いなおす羽目になってしまい、あわただしく準備を済ませた経緯がある。

しかし、彼女たちの家の者は、祝いこそすれ不満には思わなかった。


洛山寮。

高等部の開設当初から存在する数少ない寮であり、かねてより優秀な生徒が多く配置されると囁かれている寮だ。
一番初めに入る寮は学校側が決定するため、入学早々洛山寮に入れる生徒はつまり、学校公認の優等生ということになる。



「お前たちを洛山に呼んだのは僕だ」


そしてもうひとつ、洛山寮には伝統があった。
『赤司家』をはじめとした、『人魚』と呼ばれる血筋の者は、必ず洛山で三年を過ごす、というものだ。

洛山に呼ばれたときは、大したとりえもない自分が何故呼ばれたのか不思議ではあったが、和泉は緋那と、そして赤司と一緒にいられることを喜んだ。

しかし今、この状況は悪夢でしかない。

自分を忘れた恋人と、これから毎日顔を突き合わせて暮らせというのか。
行き先のなくなった気持ちを抱えたまま、あの頃の彼がいないという現実を痛感させられながら。


これでは死別よりたちが悪い。
生きている分、諦めがつかない。


「おおかた記憶を呼び覚ますため、ってとこだろうが」

緋那が、唸るように声を絞り出した。和泉の肩に、強く指が食い込む。

「さすがに酷すぎやしねーか、赤司」

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設定タグ:黒バス , 黒子のバスケ , 悪女主   
作品ジャンル:アニメ
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心音(プロフ) - 感動の一言です。面白さもあるなかでの、作品の静かな雰囲気が本当に素晴らしいと感じました!更新、楽しみにしてます! (2015年6月28日 9時) (レス) id: da51ec7942 (このIDを非表示/違反報告)
www - でもが2回も続いてしまいました(汗すみません… (2014年12月26日 15時) (レス) id: 923386029d (このIDを非表示/違反報告)
www - ひぢのさん» そうですよね!あ、でも作品ほとんど消えてしまってて…。せめて残して欲しかったって言うのは私の我儘ですかね…。でも、その人がいるサイト分かったので行きます。ひぢのさんの小説もちゃんと読みます(ニコッ頑張って下さい!ランキングとかに乗るといいですね (2014年12月26日 15時) (レス) id: 923386029d (このIDを非表示/違反報告)
ひぢの(プロフ) - wwwさん» 作品を書くのがお好きな方でしたし、ガッツもありましたから、きっと裏切り云々の規約のない新天地で返り咲いてくれることでしょう。占ツク時代の作品のタイトルなどを頼りに、探してみることをお勧めいたします。 (2014年12月26日 15時) (レス) id: e3c5154d5f (このIDを非表示/違反報告)
www - 裏、切りの小説が少しでも減って皆で楽しめるようになるといいですね! (2014年12月26日 15時) (レス) id: 923386029d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひぢの | 作成日時:2014年12月25日 5時

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