29話 ページ29
その日、奈津は私の家に遊びに来て、全日本ジュニアの時には話しきれなかった様々なことを延々と話した。
奈津「A、テニスのことは吹っ切れたんだね」
A「うん。みんなのおかげでね。もう大丈夫。今は、周の夢を一番支えられる仕事が何かを探してるんだ。」
奈津「そっか…それなら、スポーツトレーナーがいいんじゃない??選手にとっては怪我が一番怖い。プロになったら身体のケアをする人が必要になるでしょ。一番力になれると思うよ。一番そばにいれるし。それにテニスの知識も生きるし。」
A「そっか…それいいかも…。」
私は早速スマホで調べてみる。
奈津(Aのやるって決めてからの行動力はすごいんだよなぁ。感心しちゃう。)
A「専門学校か短大か大学か…。身体を動かす方から頭を動かす方に、シフトしなきゃだね」
奈津「で、これからはやっぱり不二先輩とは遠距離になっちゃうの?」
A「そだね…。そばにいることに慣れると離れるのはすごく辛いんだけど、周が夢を叶えるためのベストな場所はここじゃないし、私もただついていくわけにはいかないし…」
奈津「やっと一緒にいれるようになったのに、また遠距離かぁ…辛いね…」
A「ま、仕方ないよ…思いどおりにはいかないよね…。
でも、スポーツトレーナーみたいな知識がついたら役に立てるかもって考えると、なんかやる気でてくる。」
奈津「そっか。さすがA、前向きだね」
A「アメリカの友達にはっぱかけられたからね(笑)メソメソしてられないんだ」ニコッ
奈津と夜がふけるまで話し、奈津が家に帰ると、私はスポーツトレーナーについて調べ始めた。
それからしばらくの間、その仕事に関する本を買いあさり、その手の仕事に関わっているOBを紹介してもらって話を聞き、夢中になって調べ続けた。
調べれば調べるほど、奈津が言うように、これなら周の役に立てそうだと思った。
今は11月。これまでテニスに集中してた分、勉強はおろそかになってた。
急に『受験』の文字が現れて少し焦る気持ちもあるけど、一生懸命にならなきゃいけないものがあると、私は少し救われた気持ちになった。
しかもその先に周と並べる未来があるのなら、私はどこまでも頑張れる気がした。
スポーツトレーナーになりたいという夢に対して、両親の説得は気が抜けるほど簡単だった。
その日から、私の勉強漬けの毎日が始まった。
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彩(プロフ) - 亜弥*さん» こんな嬉しいコメント、泣きそうです!どうもありがとうございます!!!頑張ります!! (2015年8月23日 21時) (レス) id: 42a026aa1a (このIDを非表示/違反報告)
亜弥* - とっても感動しました。読み終えて立つと足がガクガクしてあまり立てませんでした。途中はどうなるかと思いました。これからも頑張って下さい。 (2015年8月23日 13時) (レス) id: de645498d4 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - りらさん» りらさん、3作品にもコメントくれてありがとうございます!!(*^_^*) (2015年1月22日 7時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
りら - こんにちは。前作とっっっても感動しました!!!!これからも頑張ってください! (2015年1月19日 1時) (レス) id: 22b58266a7 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - 林道さん» 林道さん、気分を害なんてとんでもない!こんなに丁寧に読んでいただいて、細かいアドバイスまでいただいて、感激です!どうもありがとうございました。最近なんだかうまく書けないのですが続けて書いて行こうと思います! (2015年1月16日 23時) (レス) id: 1b761003cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩 | 作成日時:2014年7月13日 0時