″元″冷酷のマネージャー【御幸一也】

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練習が終わり、部屋に帰って来たはいいものの、どうしようか。

買いに行く時間がないので、今持っているもので何とかするしかない。


そう思って引き出しを漁る。

すると、昔鳴に半強制的に作らされたお守りの余りが出てきた。


...優勝祈願のお守りでいいかもしれない。


頭の中でイメージを作り、ソーイングセットを使って縫っていく。

中に綿を詰めて、あとは回りを縫うだけというところまで来たとき、ふと思った。


お守りは確か、中に何か書かれた紙が入っているはずだ。

どうしようか迷ったが、どうせ中は見られないので、

メッセージを書いた紙を入れることにした。


メモ用紙に書き、折りたたんで綿と一緒に入れて縫い止めた。

小さなボールも作り、刺繍糸で鞄に付けられるようにする。


中に入れたものとは別にメッセージを書き、

お守りと一緒に小さめの紙袋の中に入れた。


...これで下手だとか文句言われたら、絶対口聞いてやらない。


・


御幸の誕生日当日。

教室内で「おめでとう」の声が飛び交う。


野球部メンバーだけでなく、ファンの女子からもを貰ったようで、

御幸の机の上には、大きなプレゼントの山が出来ていた。



御「まさか去年より多いとは...」


倉「どうすんだよそれ」


御「後で礼ちゃんに袋貰ってくる」



二人がそんな会話をしている横で、私は頬杖をつきながらプレゼントの山を見上げる。


こんなにプレゼントを貰っているのだから、優勝祈願のお守りだって入っているだろう。

...私がわざわざ渡す必要性って、あるのだろうか。


お守りを作ったことに後悔しながら、小さくため息をついた。

すると、それに気づいた御幸が私の方を見る。



御「Aからはくれねぇの？」


貴『......』



あげたところで、そのたくさんの内の一つになるのだと思うと、何故か不満が募る。

こんな自分に嫌気が指して、プイっと顔を逸らした。



御「......」

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