″元″冷酷のマネージャー【御幸一也】

第百七十六話 ページ47

貴『二年生だけでミーティング？』


御「そ、ゾノからの提案」



十月十三日、試合まであと五日を切った時、練習中御幸がそう言った。

二年生だけでミーティングをするので、

本音をさらけ出して、言いたい事を面と向かって言ってもらう...ということらしい。



貴『...余計に揉める未来しか見えないわ』


御「だよな」


貴『ていうか、私に言う必要ある？選手だけで集まるんでしょ？』



すると御幸は、「あ〜...」と歯切れが悪そうに頭をかく。



御「ほら...この前いろいろ言われたからさ」


貴『...あぁ』



別に怒るつもりはなかったのに、いろいろ言ってしまった。

自分でもよくあんなにスラスラと言葉が出てきたなと思う。


最近前園が私を見るとそそくさとどこかに行くようになったのも、

それが原因かもしれない。



貴『あれは...私も半分無意識だったから、気にしなくていい。

　 結果的に、私も自分の意見押し付けたようなものだし...』


御「けど、お陰で目が覚めたわ。

　 ゾノだって、Aに言われたからこれ思い付いたんだろうしさ」



「だからお前も気にすんな」と笑って私の頭を撫でると、

持っていたボトルを置いてブルペンへ戻った。


御幸に撫でられた頭に自分の手を置く。

...すごく子供扱いされた気がするのは、気のせいじゃないと思う。


はぁ、と溜息をついてボール磨きを再開した。



梅「二人仲良く何話してたの？」



新しくボールを一カゴ持ってきた幸が私の隣に座った。

どうやら見ていたようで、顔がニンマリとしている。



貴『二年生だけでミーティングするって』


梅「へー...頭撫でられてたのは？」


貴『知らない』



さっきは別に恥ずかしくなかったのに、

幸に指摘された瞬間恥ずかしさが込み上げてきて、

赤くなった頬を隠すようにプイッとそっぽを向いた。

第百七十七話→←第百七十五話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す