第百五十九話 ページ26
室内での練習とミーティングを終え、私たちは着替えに行った。
そこで、私はあることに気づく。
貴『...ない』
夏「え?」
かばんに付けていた野球のキーホルダーが無いのだ。
昔、何故か鳴と御幸とお揃いで買ったキーホルダー。
経緯は忘れたが、買った時からずっとかばんに付けていた。
更衣室の中をグルリと見回すも、それらしきものは落ちていない。
ということは、ジャージに着替える前からなかったことになる。
私は着替えずに一旦荷物を部屋に置きに行き、
大雨なのにも関わらず、傘も持たずに外へ飛び出した。
・
学校にはもう入れないので、昇降口からいつも通っている道のりを探し回る。
もしかしたら風で吹き飛ばされたのかもと、
低木の間やグラウンドの方まで探したが、一向に見つからなかった。
キーホルダー一つ、別になくしたところでどうってことないはずなのに、
私は何としてでも見つけないと、という衝動にかけられ、
時計も確認せずずっと探し回った。
けど結果は同じ。
俯いている私の髪から、ポタポタと雫が耐えることなく垂れる。
しかも、雨は弱くなるどころか、強くなるばかり。
...いい加減寒くなってきた。
ジャージの下は半袖なので、染み込んだ冷たい雨がもろ肌に触れる。
...どうしよう。
途方に暮れていたとき、横から走って来るような足音が聞こえた。
それに気づいて顔を上げると同時に、降り注いでいた雨が途切れる。
目の前には、肩で大きく息をする御幸が。
貴『な...なんで...』
御「馬鹿かお前!?こんな大雨の中傘もささずに何してんだ!!」
何故ここにいるのか聞こうとしたら、珍しく大声を出して怒鳴った。
まさか怒鳴られるとは思ってなくて、思わずビクリと肩が跳ねる。
御「今何時だと思ってる!?九時だぞ九時!!
飯も食いに来ねーし、明日試合なのに風邪でも引いたらどうすんだよ!?」
気付かないうちに、二時間近く探し回っていたようだ。
それなら心配されるのも無理はない。
ずっと黙っている私を見て、御幸は大きなため息をついた。
御「...で?何してたんだよ」
貴『...キーホルダー...探してた』
御「...はぁぁぁぁ」
私の言葉を聞いて、御幸は安堵の息を漏らした。
そして、この前と同じように私の腕を掴み、引き寄せると____
貴『...ぇ?』
ギュウッと力強く私を抱きしめた。
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桜餅(プロフ) - 夜さん» 予防接種バッチリなので多分大丈夫!だと信じたい!←これからも頑張ります! (2019年12月15日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 藍こさん» 最近イチャイチャ書けてなかったですからね〜早く文化祭書きたい...試合どこをカットするか毎回悩み所です(^.^; (2019年12月15日 1時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
夜(プロフ) - 更新お疲れ様です楽しみにしてます。お体にお気をつけて頑張ってください (2019年12月15日 0時) (レス) id: ccee2c2824 (このIDを非表示/違反報告)
藍こ(プロフ) - 御幸さんとのいちゃいちゃ!!きゃあ!!ありがとうございます!お疲れ様です^_^ (2019年12月14日 20時) (レス) id: b64ba8aeaf (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 豪炎寺修也推しさん» ですね!何事も元気が一番!まぁ風邪引いて学校休みたいって思っちゃう日もあるんですけどね← (2019年12月6日 19時) (レス) id: 03f4026521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜餅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時:2019年11月13日 17時