″自称″冷酷のマネージャー【御幸一也】

第百二十二話 ページ29

稲実が西邦と試合を終えた翌日の昼。

テレビで鳴がインタビューを受けているところが流れた。


相変わらずの猫被りに、後ろの原田先輩は青筋を浮かべている。

むしろ、もっと生意気言ってくれた方がマシだ。


なんでも、【鳴ちゃんフィーバー】と言われるものがニュースで取り上げられていたらしい。

それが何なのかよく分からないが、鳴が調子に乗るものであることは間違いない。



・


八月十九日。

甲子園は、今日が準決の日だ。

うちは神奈川の海耀高級との練習試合。


先発は降谷で、六回から沢村が登板。

ヒットと四死球で一点を取られるも、その後キッチリ抑えて、

練習試合はこれで四勝目だった。


その日の夜、夕食を食べた後、みんなで今日の準決の試合を見ていた。



御「ここまで来たら、ちゃんと見届けようぜ。あの悔しさを、ずっと忘れないようにな」



やはり全国レベルとなると、試合の内容も全く違う。

見ていて勉強になるし、目標に出来るからだ。


まずは秋大...稲実だけじゃない。

市大や薬市、帝東...夏で勝ち進んだ強豪と、またやり合うことになる。


夏と同じ結果になるか、それとも別の結果になるか。


...どんな結果になろうと、片岡監督は辞めてしまうのだろうか。


今はただ、それだけが気掛かりだった。

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