″自称″冷酷のマネージャー【御幸一也】

第百十八話 ページ25

倉「おい御幸、お前まだ食い終わってねぇだろって...相川もいたのか」


貴『っ...ぁ...倉持...』


倉「あ？何だよ」



そのまま私が動けずにいると、今度は倉持が顔を出してきた。

それに驚いた私を不審に思った倉持は首を傾げる。



倉「相川も、監督がもっと食べる量増やせってさ」


貴『別にいらないけど...』


倉「いいから来い！御幸、お前もだ！」



と、腕を掴まれ中に引きずり込まれた。


最近、妙に調子が狂う。主に御幸関係で。

さっきだって、いつもと同じムカつくような笑みだったはずなのに、

どうして私は見惚れていたのだろう。


しかも、倉持が来たからって柄にもなく動揺してしまった。



貴『はぁ...』


川「ため息ばっかりついてると、幸せが逃げるぞ」



頭を抱え、思わずため息をつくと、

隣に座っていた川上からそう声をかけられた。



貴『逃げる幸せなんてないし...それなら川上だって、

　 いつまでもそんな暗い気持ちのままじゃ、白星が逃げて行くんじゃない？』


白「おい相川...！」



私の言葉を聞いて、白州が口を挟んだ。


それで、自分の発言で川上を傷付けたことに気づき、また頭を抱えたくなった。

いくら冷たいとは言え、投手の状態を管理するのも捕手の役目なのに...。


それが元であろうが何であろうが、私にとっては大切なことだ。

実際、鳴とのいざこざも過去にはあった。


それから投手にかける言葉だけは気にかけてきたつもりだったのだが。



貴『...ごめん...』



無意識に口から出た謝罪の言葉。

すると全体から「え？」と声が上がった。



前「あの相川が...謝ったやと...！？」


麻「先輩たちに指摘されても謝って来なかった相川が...」


貴『...何』



確かに選手たちに謝罪をした覚えはないが、

マネージャーや監督たちにはちゃんと言っている...と言っても稀だが。


...私が謝ることって、そんなに変なのだろうか。


私だって、みんなが認めてくれた分、少しは変わろうと思ってはいる。

が...この感じだと、先が思いやられるな。

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