″自称″冷酷のマネージャー【御幸一也】

第九十七話 ページ3

立ち上がりのカーブは、決して悪くなかった。

しかし、丹波先輩にはある弱点がある。


レフト方向のスタンドに入った白球。

それを見て盛り上がる、稲実側のスタンド。


丹波先輩の弱点とは、時折入ってくる甘いストレート。

丹波先輩はカーブ主体の投手。

そのカーブを際立たせるのはストレートだが、やはりまだ弱かった。


その後フォアボール、デッドボールと続き、ノーアウト一・二塁。

次の打者はバントを仕掛けたが、御幸の三塁への送球で一アウトとなった。


しかし、次からは稲実の上位打線。

だが、さっき打たれたストレートで抑え、白河は歩かせたものの、

吉沢から三振をもぎ取り交代となった。


そのお陰で、こちらにも流れが向いてきた。

表で点を取れなくても、まだこちらにも希望はあるはずだ。



・



ヒットで出塁した原田先輩が、鳴のバントで進塁。

その後ヒットが続くも二遊間のファインプレーで満塁のピンチが救われた。


次で七回。そろそろ点を撮らないと、だんだん点差を縮めるのは難しくなる一方だ。

しかしそれも叶わず、また三者凡退。


うちに傾きかけていた流れは、行ったり来たりを繰り返しているように感じる。


そして八回表、とうとう結城先輩が鳴のチェンジアップを捉えた。

ライトを抜け、白州たちランナーがホームへ返ってくる。


逆転したことで、今度は青道側のスタンドが盛り上がる。



梅・夏「やったー！！」



そう声を上げた幸と唯が、両サイドから私に抱き着いて来た。

喜ぶなとは言わないが、暑苦しい...。


増子先輩はセンターフライでアウトとなったが、ここで逆転出来たのは大きい。

最終回でもっと点差が開けるなら、それこそ最高の展開だ。


そして八回裏、丹波先輩に代わり、沢村がマウンドへ上がった。

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