″自称″冷酷のマネージャー【御幸一也】

第九十六話 ページ2

倉持はセーフティーのフリで揺さぶりをかけて歩き、

小湊先輩は正真正銘セーフティーで倉持を送るもアウト。


そこで私は、少し異変に気づく。

小湊先輩の足なら、セーフでも可笑しくないはずだ。

ただの不調か、もしくは足の故障...。


けど、練習はちゃんと出来ていたし、あまり酷くないのかもしれないと考え、

試合に集中する。


伊佐敷先輩はスライダーに上手く対応し、ウチが先制点。

しかし、鳴が本気で結城先輩を抑えに行き、増子先輩は少し詰まらせて一点止まりとなった。


稲実から先制点、それも初回から取れたとなれば上出来だろう。


降谷の立ち上がりもよく、二回まで三者凡退が続いた。


それはうちも似たようなもので、最初の一点が最後に、四回まで得点無しのまま。


しかし、四回裏、試合が動いた。


塁に出すと面倒なカルロスを歩かせ、白河のバントで二塁へ。

次の打者は増子先輩のファインプレーで抑え、2アウトとなった。


心なしか、降谷に力が入って来ているような気がする。

これで甘い球に手を出されたら...。


そう思った側から、原田先輩に打たれ、カルロスがホームへ返ってきた。

今のはセカンドへの打球だったが、小湊先輩が後ろへ逸らした。

やはり、決して軽いとは言えない怪我なのかもしれない。


その後鳴がライト頭上へ打って原田先輩も返ってきた。

欲張って三塁を狙った鳴はアウトとなり、それが唯一の救いだ。


私はノートを見直し、球数を確認する。

四回で六十八球...降谷のスタミナも厳しくなっているはずだ。

これは、次の回から丹波先輩に代わるだろう。


その分降谷は左中間へ打って出塁。

バントで二塁へ進めるも、白州がアウトとなって、この回も得点なしだった。


裏へ回り、やはり丹波先輩がマウンドに上がった。

降谷はそのままレフトへ。


さぁ、丹波先輩で稲実打線をどこまで抑えられるのか___

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