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待って ページ44

壊れ物を扱うように、そっと触れられた頬。


涙を拭うようにぐっ、と擦られれば、驚いて涙も止まってしまった。




「……そうやって、人を落としていくんですか?

そういうとこ、嫌い、です」



「……でも、好きなんだろ?」




ああ、そうですよ。好きですよ。


生殺しなんて辛いだけだ。


早く、早くトドメを刺して欲しい。


いつものように『大嫌いだ』と言って突き放して欲しい。




「……おれ、わからないんだ」



「……何が、ですか?」



「お前に対するこの気持ちはなんだ?

同情か?哀れみか?


……違う。もっと、」



そこまで言って口を噤む。



「私に、わかるわけないじゃないですか」


「……だよな、」



う〜ん、と唸った後、何かを思いついたかのように顔を上げる。



「待って、くれるか」


「何を、」


「返事」



返事。告白の、ということだろう。


それを聞いた瞬間、私の目からは涙が零れた。


そんなの、生き地獄だ。



「……お前、めんどくさいな」



再び泣き出した私にはっきりと言い放つ。


そんなの、重々自覚している。


す、とあの人が息を吸うのがわかった。


……あぁ、今度こそ振られるんだ。


覚悟して目を瞑った……その時。



ふわっとおでこに柔らかいものが当たる。



初めての感覚に、閉じていた目を開けた。



暗い中、見えたのは喉仏。どうやら誰かが私のおでこにキスをしているようだ。



しかしこの場には私とあの人のふたりしかいない。


状況が読み込めず、頭は真っ白になって動けない。



「おれは、お前のこと、嫌いだけど嫌いじゃない」



頭の辺りから聞こえた言葉に、ようやく理解が追いついて急いで距離をとる。



「なっ、何して……!」


「あれ?ママが前に“おでこにちゅ〜は仲良くなれるおまじないだぞぉ!”って言ってたんだけどな……」



おかしいな、と首を捻る目の前の人。


それは確実に日本での話じゃない。


じりじりと離した距離を詰められ、私もじりじりと後退していく。



しかし、足を掴まれて、動けない隙にその距離はぐっと縮まる。









.









「なぁ、おれたち、友達から始めない?」

“おもしろい人”→←泣かないでside月永



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- 完結おめでとうございます!とても面白い作品で涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください! (2021年6月20日 6時) (レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
美玖 - すっごく面白いです!いい言葉が出ないのでこの気持ちを伝えるのが難しいですが、私はすごく好きなお話です (2021年5月8日 21時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
美夜 - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます!とても面白い作品でした!是非、お二人のその後が読みたいです! (2019年2月26日 2時) (レス) id: 671397f4b4 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 続きを…書いて欲しいですっ!!!!とても面白かったです!!! (2019年2月26日 0時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
コユキアメ(プロフ) - この作品見つけたときからすっごく好きです!レオくん推しとしては続きを書いてもらいたいですm(_ _)m (2019年2月25日 8時) (レス) id: f7c062f730 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マヨネーズ | 作成日時:2018年10月8日 17時

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