己をなくすほど人はその人自身になる。 ページ43
「どう思ってるも何も…頭からっぽだし。
お前にかけてる言葉は、どうしたら誉められるかとか理解してくれるかとか。どうしたら上手く都合良く物語が進んでくれるかの計算した台詞かもしれない。
それこそ、どうやったら早くワガママな子供を宥めれるかみたいなもの。
感情じゃなくて、都合優先だよ……俺はね。」
友「……俺は、って。というかからっぽって何ですか。あんた、部員には「役の感情を理解するのが大切だ」とか言ってるくせに。」
ベンチに座って友也君はジトリと見詰めてくる。隣に座った俺は、首をゆっくり傾げた。
「…愛情が無い。」
友「…執着じゃないんですか?飽きやすい、とか」
「芸をみせることで人が寄るのを知ってる。だからこそやる。手放したくない、離れてほしくないって思うのは執着だよ。
愛情は相手を思いやる…ってことだけど。お前、思いやられた事あった?サファリに投げ込まれたり、女装させられたり。「役造りのため」とはいえ人間の限界考えてねーだろって思わなかった?
思いやられたい、って思いしかないよ。お前に」
あくまで、俺からのコイツへの思いだ。
なにしろ日々樹渉本人と友也くんは会ってないわけで、コイツが俺に憧れた時期から中身は既に俺だったんだから。
俺がどうしたいかの意志。貫き通した其を認めるのは渉との関係性はない。
友「思いやられたい、って言ってもそんな良いことされた覚えありませんけど。」
「だぁから…言っただろ、頭カラッポだって。カラッポだから役に私情を持ち込まず自分をださないし、正しい愛情の向け方も知らない。」
自虐的ですね、と言われて、ぐさりと胸に刺さった。そうだけどそうじゃないのにその通り。
友「ほんと、違和感しか感じないんだよ、今日のあんた。いつもは芝居かかってる癖に今日だけ人間らしい。…芝居なくなったらどうなのかってよく考えるんだけど、実のところどうなんです?」
「残念でしたー。日々樹渉は死ぬまで役者ですからぁー。」
友「うっわムカつくな。」
「という俺との会話、あまり重く捉えないでね。
日々宇なんて存在は、日々樹渉が居ないとこの世界には居ない存在。取り敢えず生きてるだけで"普通"になれるお前だけど、俺は生きるのも奇跡だった弱っちぃ存在。たまたま日々樹渉の気紛れで作り出された、唯の仮面な存在。
…"母から生まれる"なんて普通なことさえ俺は羨ましいな」
苦虫を噛み潰した顔。そんな友也君の瞳にも同じ顔した俺が映ってた。
涙も見えないのに拭えるのは己の内側を知る者のみ→←思わず口にするのが本音だからこそ,大切なもの
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詅(プロフ) - 真響さん» ぜひよろしくお願いします!もう本当に貴方様の日々樹渉解釈に尊敬しかなく…!! (2017年12月18日 19時) (レス) id: 1f05f5b54d (このIDを非表示/違反報告)
真響(プロフ) - そう言ってもらえて嬉しいです…!今後、更に暗くなります。怪盗イベでの未だに少年呼びな真白君との話,友人君,店主さんとの関係,北斗君への思いに卒業後の話…"日々宇"が存在する前提での話ですが、それでも良ければ小説に入らないぶんボードで語りましょう…! (2017年12月17日 22時) (レス) id: 5066b17b34 (このIDを非表示/違反報告)
詅(プロフ) - 真響さん» 楽しみにしております!何ならボードとかでもいいのでもう本当に語ってほしいです…!貴方様の日々樹渉解釈に悶えるばかりですので! (2017年12月17日 22時) (レス) id: 1f05f5b54d (このIDを非表示/違反報告)
真響(プロフ) - 詅さん» 恐れ入ります、そんな感じです…。もう本当に、ここで語りたいけども到底250字じゃ足りないので、明日の更新で語らせてもらいます…! (2017年12月17日 21時) (レス) id: 5066b17b34 (このIDを非表示/違反報告)
詅(プロフ) - 読んでいて切なくなりました…。私個人の解釈ではありますが、誰にも気付かれないこと前提で行動していたけれど、それでもやっぱり気付いてほしいと願うのは、日々宇くんの本心なのでしょうかね…?この物語の本筋と解釈が違うのなら申し訳ないです! (2017年12月17日 20時) (レス) id: 1f05f5b54d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:真響 x他1人 | 作成日時:2017年11月30日 18時