俺でも日々樹渉になるのは諦める

鬼才は凡人の前方に立つ者でなく,歩く道が違う｡悪く言えば"道を踏み外した" ページ1

友｢あぁもう、ついていけない…！｣


と、デロデロにくたばった少年は言う｡

七夕終わりから色々と意気込んでいるらしい少年に演劇部で指導していたのだが、この体たらくに少々呆れていた｡



渉｢何を仰いますか！一歩も動いてないのに─…｣


友｢お前が椅子に縛りあげたんだよ、この変態！！
なんなんだっ、ひたすら笑えるバラエティDVDを一時間も見せ続けて！｣




、それはさぁ…肺活量鍛えたいってお前が言ったからさぁ…



渉｢お願いしたのは貴方ですけどね？
まぁっ、私に出会った時点でそんな嫌な気になるとは熟々承知のうえだった事でしょう！

それでも貴方が此処に居るのは…いることを決めてしまうのは運命です｡
貴方が望まない方向に、貴方は生きてしまった｣


友｢そんな運命でお前と巡り会いたくはなかった！｣




…死んだ方がマシ、とか言うなよ｡


必死になって卵子まで泳いでたクセに｡



多分、俺は悲しいものを見る目をしていたと思う｡


それを言っていいのは俺だけなんだよ｡
泳がず、ある人間になった俺だけなんだから…





……何故それ程、真白友也に執着するのかと、夏目くんに言われた事がある｡が…
俺は言葉を濁して答えはしなかった｡



まぁ、可笑しな話だけどな｡

"普通"をつまらないって言う日々樹が"普通"に構うなんて｡




…うぅん、違うな｡


"普通"が嫌いなのは、日々樹じゃなくて俺だ｡

きっと…いつのまにか、普通じゃいけないって思考になったから嫌になったんだと思う｡



"普通"に構いたくなるのは、俺じゃなくて日々樹だ。


真っ白な未来日記を、自分みたいな色で満たしてほしくないからと、わざと近寄ってる｡

その人の駄目なところを見つけてもらって、｢ろくなもんじゃない｣｢こうはなりたくない｣なんて思わせて"自分みたいにさせたくない"って思って近寄ってるだけだ｡


…入学当初の少年は、｢貴方みたいになるために此処に来た｣って言ってたから、そう作用するのは必然で｡



そんなの、日々樹は望んでない｡




普通と平均とマトモ｡


変人の直ぐ側にいれば、必然的に｢普通なら｣を延々リピートして現実を見てしまう｡

誰よりも、その事を考えてしまう｡
そうしてマトモになる｡



俺は、好きなのと嫌いなの、２つに普通を分ける。


嫌いな"普通"は、平均｡周りと同じなのが嫌い｡

好きな"普通"は、ありの侭｡自分を貫きとおすのが好き｡


少年も、俺に感化されることなく,そう生きれたら良いんだけど｡

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