episode520 ページ21
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貴「ハンジさんじゃなきゃ嫌ですよ、私。
リヴァイに何を言われてもハンジさんじゃなきゃダメです」
ハンジ「………」
貴「いつか式を上げた時にはエルヴィン団長達も呼んで…リヴァイの話もっと教えてくださいね」
ハンジ「……」
貴「約束ですよ?」
私は立ち止まったハンジさんに笑って手を振りながら、先に船の中に入った。
ハンジ「……ずるいな、君は。
終わったら……か。
生きてたら、の間違いだろう?…A…ッ」
“終わったら”…
私はどこにいるだろうか。
何をしているだろうか。
みんなは生き延びているだろうか…
笑っているだろうか…
大丈夫。
私の望みが叶うなら、この先の未来でみんなは笑っているはず。
貴「ふぅ…海は綺麗ね」
私は甲板から海を見つめた。
深くて底の見えない青が、私の中にある不安も悲しさも飲み込んでくれるから
私は心安らかに笑える。
貴「この結末がどうであっても、大丈夫」
私、みんなの苦しみも全部受け止められる人になりたいな。
貴「ねえお母様…お母様に1度でいいから会いたかったよ」
聞きたかったことがあるの。
どうして、お父様と結婚したのか。
どんな人だったの?髪の色は?身長は?
どんな声をしていたの?
もしお母様が生きていたら…
私…お家の中で1人ぼっちだなんて感じなかったのかな。
お父様はもっと私を…私の中身を見てくれたんじゃないかなって思うの。
貴「生まれた時から決まっていたなら…何も悲しむことは無いわよね」
パシャンッッ…
私は海の中へ飛び込んだ。
すると…
1匹のエイが私に近づいてきた。
貴「人懐っこいエイさんね」
貴「私も生まれ変わるなら海の魚さんになりたいわ〜
この広い海を泳いで世界を見て回るの。叶うならユミルと一緒に」
貴「まだユミルを海に連れていけてないの…約束したのに」
貴「私ってなんだったんだろう…」
海に浮かびながら空を仰いだ。
___笑ってちょうだい、私の可愛い愛娘よ
ずっと、あなたを見ているわ__
貴「!!?」
ふと、知らない声が聞こえた。
間違いなく…このエイさんから聞こえた…気がする。
貴「待って!」
エイは私の周りを1周回ると、波を超えて泳いでいってしまった。
貴「…お母様……ありがとうッ…」
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作者名:猫まる | 作者ホームページ:
作成日時:2024年1月19日 11時