朔間零が血を嫌う理由【朔間零】

理由25 ページ25

『ひよ、りくん、先輩と私のこと知ってるの？』



「ん〜？先輩？誰のことかさっぱり分からないね！」



『＿＿朔間零先輩』



「それは、君自身で思い出しなさい。」



紅茶を飲んでいた英智くんが真面目な顔でこっちを見つめる。



私自身で思い出す、こと



それだけ、大切なこと



『…………れい、さん』



無意識だった。

かすれた声だった。



だけど確かに今、"零さん"って呟いた



ああ、頭が痛い



『ごめんなさい、私帰ります。』



はっきりさせなきゃいけない事がある。



私は取り戻すんだ。



失くした記憶を。



断片的にだけど、少しずつ戻りつつある記憶を。



『とりあえず、講堂に向かお。』



講堂。



初めて先輩を見た場所

fineが五奇人を処刑した場所

そして、先輩を好きになった場所(・・・・・・・・)


………好きになった？


好きになったのは最近、



でも、体のどこかが違う、違うと告げる



頬に、熱いものが伝ってくる。




＿＿新入生のみなさん、俺は生徒会長の朔間零。入学おめでと。









＿＿これで、五奇人は終わり。バイバーイ









『っぁああ！？』



っなに、今の。一瞬、映像が流れ込んで……



『………ぁ、なんで、忘れてたんだろ。』



そうだった、これは私の記憶の一部なんだ。

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