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五話 ページ6

××










あんず「大丈夫ですか?」



『うん………ごめんね。カッコ悪いとこ見せちゃって』



あんず「っどんなAさんも、私は大好きです!」










食い気味にそう言うとAさんは赤く腫れた目を細めながらありがとう、と言って笑った。



英智先輩がこの会議室を去ってから約一時間。その間ずっとAさんは咽び泣いていて、私はそんなAさんを抱きしめることしか出来なかった。



Aさんが背負ってるそれは、きっと私なんかが癒せるものじゃないから。



それに、これは何となく私の勘だけど、Aさんは家族とも上手くいってない気がする。なんとなく、考え方のそれが昔親に暴力を受けていた亡き親友によく似ていた。




なんとなくだけどね、そんな気がする。




なんて考えて、未だ目を擦るAさんの手を自分の両手で包み込む。











あんず「少し冷たいですね」



『ん、あんずの手はあたたかいねぇ』



あんず「髪、乱れちゃいましたね。結び直していいですか?」



『お願いします!』












そういって私に背を向けたAさん。



傷つけないようにそっと髪に触れると、擽ったいのかAさんはふふっ、と肩をすぼめながら微笑んだ。



ココ最近、ずっと作曲なんて手につかなかったAさんが「ふふふ〜ん」と鼻歌をしながら楽しそうに足をパタパタさせてる。



それだけで嬉しくなって口角が上がる。



数分後、終わりましたよ、と声をかけるとAさんは幼い笑顔で「ありがとう!」と笑ってくれた。



この笑顔が見れるなら何だってできるなぁ、なんて考えていたらAさんが勢いよく立ち上がって私の目を真っ直ぐ見つめた。










『さて、誰から報告しようか?』



あんず「今日は午後からKnightsのプロデュースが入ってるので、良ければ少し時間を取りましょうか?」



『うーん、Knightsかぁ』










悩みに悩んだAさんは、まあいつかは通る道だしな、と呟いて首を縦に振った。



それとほぼ同時にぐぅうう、と腹の虫の音が会議室に響き、Aさんは驚いたように笑って「お腹すいた!」と言い放った。










あんず「またご飯抜いたんですか?」



『ううん、なんか一段落したら安心しちゃって、』



あんず「!………ふふ、仕方ない先輩ですね」










××

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みるくてぃー(プロフ) - 鳳凰さん» 素敵なコメントありがとうございます!とても励みになります!!不定期更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです♪ (8月22日 11時) (レス) id: 4a169714af (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰 - 二十四話で推し達がいるの嬉しすぎる!!お話もとても面白いので更新楽しみにしてます!頑張ってください🌸 (8月21日 15時) (レス) @page25 id: 3ca2752c0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年2月12日 22時

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