壁=桑 ページ4
まだ日の出も出る前に起きた俺は準備運動のように軽々とモノを倒している。
村から持参したクワを上から下へ力任せに振り下ろし、フワフワと浮いているモノを叩き切る。
普通の獣と違いモノは叩けばシュワシュワと音を立てて消えていく。
この作業がモノ=金の方程式が確立している俺をたまらなく興奮させてくれる。
「うるさいなぁあー」
『はぁーーー!なんだよそれ!』
いやつい数秒前まで寝て起きたやつの第一のセリフがそれかよ!そして振り下ろす角度を間違えてどこかへ消えてしまった!
俺の金がぁ……くそうっ
そして何よりもこの目の前で寝ぼけた顔をしているこいつもこいつで
『寝起きわるすぎんだろ!お陰様でおれは無駄な体力消費しちまったじゃないか!』
「夜に俺を起こしたお主が悪い!」
『二度寝は許さない。昨日の夜、人の干物を食べた挙句、食い逃げならぬ食い寝したのはどこの誰だ』
「腹がすいては戦も出来ないのだから仕方ないだろう!」
『食べるのは良いんだ。ただこれを下さいの一言も言えない事に俺は怒っているんだ』
村の中だったら食料が絡んでおいて礼儀がなってないようなら即座に消されるぞ
「だっていつもなら」
『だっていつもなら?お前の目的がなんだかお金目当ての俺にはどうでもいいがもしいつもの日常を求めているのならそれは間違いだよ』
「わかったよ!馬鹿!心広い王に感謝するのだな!」
『だからお前はいつも一言、二言、三言とも余計だっての!ほら行くぞ!こっちなだろ?』
日が登り始めてようやく気づいた。いま俺たちが見ている砂埃の先にはなんだか不気味で大きな黒いシルエットがある事に……
だがやはり王のLvにはいささかな問題があるな……
『ほら、このクワを手に持て……これから壁に向かうまでの間に現れるモノというモノを全て倒せ……』
本当は一つとてモノを譲りたくは無かったが仕方ないだろう
「なんで俺がこんな小汚い鉄を。」
『文句言える状況でないだろう。それならば俺が王を両手で振り回してモノをぶっ叩くか?』
「なんて恐ろしいやつだ!!持てばいいのだろう!?持てば!!」
ふむ……それもそれでありだな。そうなるとクワよりもスピードも出るだろうし……うんありだな。
「いやだからそんなキラキラした目で俺を見るな!無礼者!」
「あっこら逃げるな!」
そしてそのまま何度か謎心理で全く違う右方向へ行こうとする王をモノのいる方向へ誘導しながらもなんとか壁の方向までたどり着いた
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紅葉遥喜(プロフ) - とても面白いです!オリジナルファンタジーは、あまり拝見しないのですが、たった3話読んだだけでこの世界に入り込んでいました! アカウントが違いますが、機種変しました。今後とも応援させていただきます! (2019年6月1日 17時) (レス) id: de41049d3c (このIDを非表示/違反報告)
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