プロデュース科の一期生はキツくて優しい【追憶】 (ページ12)

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12　あっという間の毎日ページ12

転校から少し経った頃＿＿＿。

学校は荒れてるし、生徒は癖が強いしで、初日から心配していた夢ノ咲学院での生活は、思っていたよりも何事もなく、あっという間に過ぎていった。

そして今日も、前の席の日和が話しかけてくる。

「前から思ってたんだけど、Aちゃんっていつも眉を顰めてるよね？」

『？？』

「ほら！また皺が深くなった！
そんなんじゃ、年を取り始めたらあっという間に眉間に皺が寄るよ？折角、僕に比べればまあまあにしても、そこそこいい顔で産んでもらえたのに、そんなことになったら悪い日和！」

『......うるさいわね。どんな顔してようが私の勝手でしょ』

「ふふっ。でも確かに、私もAさんが笑っているところ、少し見てみたいかも」

『凪砂まで...』

日和の言う通り、私の表情のせいか、あまり人には構われない。

別に気にしてはいないけど、キツい、とか、怖い、とか...。

まあ、陰でそんなふうに言われてたりもする。

けど、前の席の日和と隣の席の凪砂は、そんなこと気にもせず、よく話しかけてきた。

『余計なお世話よ...っい"』

「！ああ、痛かった？それはごめんね？」

日和の言葉を一蹴してそっぽを剥こうとすれば、前から手が伸びてきて、ぐりぐりと眉間を指で押される。

割と強い力でされるそれに抗議の声をあげれば、思ってなさそうな謝罪をされた。

なんでも、日和は金持ちの御曹司だそうで、そのせいか、日常的にちょっと偉そうな発言をするところがある。

御曹司関係なく、素の性格が悪いのかもしれないけど......。

『全く、なんでこんなに構ってくるわけ』

「ん〜？だって、Aちゃんって怖い顔をしてる割に一生懸命で...。
腐っている今の夢ノ咲学院には勿体無いくらいいい子だからね！僕が褒めてあげてるんだよね！」

どこが褒めてるのよ...。

そうキッと睨みを効かせても、どこ吹く風という感じで笑っている日和をみて、馬鹿馬鹿しくなって睨むのをやめる。

そうすれば、日和は少し嬉しそうにニコリと笑った。