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炒飯 ページ14




「ねぇ、A」


果実酒の瓶の残りを全てグラスに注ぎ、一息にあおった彼は紅く色づいた顔で私に問いかける。


「Aのとこの職場さあ、いつ在宅勤務になんの?危なくない?」

「えぇ〜……公務員だからなぁ、多分同じ部署の人が感染したとかじゃない限り普通に出勤だよ。もちろん対策はしてるけどね」

「……俺の分まで飯作るの、負担になってない?」


へにゃりとしおれた耳と尻尾が見えるみたいだ。不安げな顔でこちらを見つめる彼の姿がどうも実家で飼っていた犬に見えてきて、思わずそのくせっ毛をよしよしと撫でる。


「だいじょーぶ。私も一緒にご飯食べるの楽しいし、無理はしてないよ。あ、でも買い物手伝ってくれたら助かるかもしれないな」

「……!分かった」


分かりやすく瞳を輝かせる彼方くん。耳はぴょこぴょこと、尻尾はぱたぱたと絶えず動いているみたい。……やっぱりうちの犬と似てる。


「とにかく、何か困ったら俺に頼って。いい?」

「はいはい。ありがとね」


……まったく、頼りがいのある忠犬だ。





「あ、俺が代わりにご飯つくって待ってようか?」

「いやそれはほんとにやめて?」





大丈夫、なんて言ってはいたけど、やっぱり忙しいものは忙しいわけで。

今後の計画や対策など、考えなければいけないことは増えるばかり。普段よりも人気(ひとけ)のない道は、私をなんとなく寂しい気持ちにさせる。

金曜日だというのに、定時上がりするという淡い期待さえ叶わなかった私は、いつもよりも早足で街を歩いていた。やばい、彼方くん待たせてる。

慌ててドアを開け、いつもの癖で「ただいま」と呟くと、台所に立っていた彼方くんが「おかえり。お疲れさま」と振り返った。その手には朝使った食器と布巾が。


「ごめん、待たせた」

「誤差でしょ誤差。勝手に皿拭いてたけど大丈夫だった?」

「うん、ありがとう。ごめんね」


……迷惑かけてるのは私の方じゃん。

*→←おにぎり3種



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いつかのだれか。(プロフ) - 執筆お疲れ様でした。料理や登場人物の心理描写が好きで、ずっとお気に入り登録していた作品だったので更新されたこと・完結まで読めたこと、とても嬉しく思います。素敵な小説をありがとうございました。これからもお体に気をつけてお過ごしください🍛 (3月23日 0時) (レス) @page40 id: 0075fb22a2 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 少しずつ三崎さんのペースで回復していってください。また三崎さんの素敵な話が見られるのを楽しみに気長に待ってます。 (2020年9月20日 8時) (レス) id: 0edccb8a0c (このIDを非表示/違反報告)
つばさ - 無理せずにゆっくりでもいいので体調を良くしていって下さい! (2020年9月19日 21時) (レス) id: 46296c987b (このIDを非表示/違反報告)
三崎(プロフ) - しおさん» ありがとうございます!無理せず体調を治していきたいと思います◎ (2020年8月23日 19時) (レス) id: 83ba49b51f (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - お知らせありがとうございます、どうか無理せず自分第一で暮らしてくださいね、こちらこそいつも素敵なお話をありがとうございました。早く回復しますように願ってます! (2020年8月23日 17時) (レス) id: 47ac21f61f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三崎 | 作成日時:2020年3月22日 0時

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