14.痛む痣 ページ14
[A]
溢れ出る涙を手で押えて泣いていると、
シーツがモゾモゾっと動く音が聞こえた。
ジュダル「A。」
A「っ………ジュダル!!
意識が戻ったの?」
急いで涙を吹いて、
ジュダルを見ると頬に温もりを感じた。
ジュダルの片手が私の頬を包み込んでいたんだ。
ジュダル「初めて俺の前で泣いたな。」
A「っ………」
優しく涙を拭き取られる。
ジュダル「自分が死にかけてた時は
泣かなかったのに、俺の時は泣くってか…」
A「そんなの…当たり前だよ……」
大好きな人が死ぬなんて
考えられないよ…
ジュダル「そっか……
つまりお前にそんだけ大事に思われてるんだな。」
彼は嬉しそうに微笑む。
こんなジュダル見たことない…
A「でもお願いだから二度と、あんな無茶はしないで…
もしまた私があんなふうな事をしたら、
誰かに迷惑をかける前に殺して欲しい。」
ジュダル「っ…………よっと。」
彼は何も言わず、
ゆっくりと体を起こす。
ジュダル「そんなこと
死んででも御免こうむるぜ。」
彼の赤色の目は私をしっかりと捉え、
嘘偽りのない発言だとはっきり伝わる。でも…
A「私…もうあんな思いしたくないよ…
自分の手で仲間を殺していくなんて…」
どうして私はいつもこうなんだろう。
国の内戦を止めるために
仲間だった人達を殺して勝ち取り、
今回は操られて大切な人を殺そうとしたり……
どうしていつも
仲間を殺さないといけないの…
これがもし抗えない"運命"なら、
運命が憎い。
ズキッ
一瞬左腕のアルサーメンによって
付けられた痣が痛んだ気がした。
A「どうして…私はいつも仲間を……」
仲間を殺してきた自分の手をみてると、
頭を優しく撫でられた。
ジュダル「俺がそんな事させねぇよ。
お前は楽しく生きてくれれば、それでいい。」
A「っ………ジュダル…」
ジュダル「決めたぜ、お前は今日から俺の補佐だ。
なら上官が部下を守って当然だろ?」
A「ほ、補佐!?どうしていきなり…」
ジュダル「だってお前、こんなことあったから
もうシンドリアに帰れないだろ。
ならもっと煌帝国にいろよ。
お前が知らないこと、沢山教えてやるよ。」
あぁ…なんでこんなに優しいの…
貴方の優しさに私は救われる。
A「宜しくお願いします!上官殿っ!」
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花月 | 作成日時:2020年10月16日 2時