13.守るべきもの ページ13
[A]
ずっと考えこんで
どのくらい経ったのだろう…
長い沈黙を最初に破ったのは
紅明さんだった。
紅明「A殿の気持ちも分かりますが、
ジュダルの気持ちを考えてみてはいかがですか?」
A「っ……………」
ジュダル……
紅明「貴方を命懸けで守ろうとしたジュダルと、
貴方を利用しようとした仲間、
一体どちらが貴方にとって大切なのですか?」
そんな究極な質問を聞かれてしまっては、
前にも後にも引けない…
でも紅明さんの言う通りなのは気づいてる。
私はシンに利用されてたんだ。
彼は運命を見ることが出来る。
きっと彼と旅先で出会った時から、
シンは私がジュダルと
仲良くなることを知っていたんだ。
その時からきっと……
利用しようと決めてたんだ…。
どちらが大切か……
『なぁA!俺たちと一緒に国を作らないか!
このシンドリア王国で。
君とならきっといい商売が出来る気がするんだ!』
『なんでお前は何も言わなかったんだよ!!
俺はお前が人形扱いされてるのが気に食わねぇ!
もっと自分を大切にしろよ。」
っ…………!!
そうだ。私は……………
A「黙っててごめんなさい。
実は……シンドリア王国のシンドバッドに
ゼパルの能力で操られてました。」
あぁ………言ってしまった。
これで煌帝国はシンドリアと敵対してしまうだろう…
でもこの事実を聞いた皆は
誰一人顔色を変えずに真剣に聞いてくれた。
A「いつからゼパルの能力がついていたのかは分からないけど、紅炎さんを殺せと頭の中にずっと流れてました。」
紅炎「なるほど。
それをジュダルが止めようとしてあのような結果になったのか。」
A「はい………
すみませんでした。」
紅炎「Aが謝ることではない。
これからシンドリアとどう接していくか決めていく必要があるな。紅明、紅覇。」
紅明「そうですね。」
紅覇「はい。」
紅炎「お前も疲れてる中連れてきて悪かったな。
ジュダルの看病を頼む。もう戻って良いぞ。」
それから私は部屋に戻り、
呼吸のリズムが整ってきたジュダルの手を握る。
A「痛かったよね…ジュダル……
ごめんなさい……うぅっ………」
一日でこんなに涙を流したのはいつぶりだろうか。
ジュダルが下手したら死んでいたと思うと、
とても怖くて申し訳なくて…
涙が止まらなかった。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花月 | 作成日時:2020年10月16日 2時