中原中也に忠誠を誓った少女【文スト】

episode35 ページ37

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結果から言うと、人虎君とのダイビングは中々過激なものであった。


私達の逃亡に気づいた組合が空対空カノンで弾丸を打ち込んでくる上に、その弾丸が人虎君の足に命中。
虎の治癒力があるから放置してもいいかと思っていたら、彼は気絶してしまっていて。
更には降下傘にも弾丸が撃ち込まれてあわや地面に真っ逆さま状態。


空中では生命体エネルギーなんて見つけることができない為、仕方なく自分のエネルギーを使って人虎君の足を回復してあげるも意識まで浮上させることは出来なくて。




二人揃って地面に落下を覚悟したところで、人虎君が文字通り虎になり、地面に着地。
私はその背中に乗るかたちとなって、地面との接触を免れた。



「……生きてる？」

『助かった。ありがとう』



人間に戻った彼にそう伝えれば、きょとん…とした顔で「え？」と返された。どうやら虎になった記憶はないらしい。なんとも残念な少年である。




『……じゃあ、私ポートマフィアに戻るから。ソレ、早く届けられるといいね』

Qの人形を指差してそう云えば、再びきょとん…と目をパチクリさせる。ポートマフィアと探偵社がいつまでも一緒にいるわけがないのに、全く彼の思考回路はどうなっているのだろうか。



『極力彼の人には会いたくない。それに───』




空からの攻撃は、まだ終わってないから







ズドン、と私の彼の間に銃弾が撃ち込まれる。




『頑張ってね、それじゃ』




降下中の様子からも、組合の狙いは彼の方。
つまり別行動をしてしまえば私に銃弾が向けられることは、ないのだ。




さて、早く本部に戻って中也さんに無事を報告しなければ。否、この状況で彼の人が室内にいるとは考えにくい。とすれば、マフィアが商売の拠点とする場を守りに行っているか…。





『…無事でないはずがないのはわかってますけど、無茶は絶対しないで下さいね』







そう祈りながら、敬愛する中也さんの元へと急いだ。

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