【マギ】貴方の“特別”枠、希望です。

15枠＊バルバット王宮にて 2 ページ17

ーなんとかしていいんだな？


堂々とそう言い放つ王の表情に、本当になんとかしてしまうんじゃないか、と錯覚されられる。



__こういう所、変わってないよね。

あの時も、あの時も。

本当になんとかしてしまうのだからここまで信頼して、ついてこれたのだと思う。



その後に続く言葉はもう、予想がついている。



「俺がその“霧の団”とやらを退治してやるよ。軍隊も使わず俺たちだけでな！」





“信じてるから、シンさん。何処までもついていくよ。”


心の中で、そうっと呟いた。


強く、決意を固めるように。
自分を戒めるように。



もう、あんな思いはしたくない。



**

自分の心の呟きに、ふと感じた既視感。

昔も同じようなことを言ったのは思い出せた。けれど、いつ言ったのかが思い出せなかった。


何か大事な事を忘れている気がする。

そこだけがさっぱりと、今まで違和感を感じないほど自然に抜け落ちていて。


喉に刺さった小骨のように、違和感が引っ掛かって、むず痒い。




……そういえば。


“もう、あんな思いはしたくない”


先程は何故こう思ったのだろう。

嫌な事はあったけれど、そこまででもなかったはずだ。


結局、“その記憶”の引き出しを見つけられず、

まぁ、いつか思い出せるよね。

そう思って今は放置することにした。



__いつの間にか、先程までのむず痒さは綺麗さっぱりとなくなっていた。


**

「A？ぼうっとしてないで行きますよ」

考え事をしていたから、突然名前を呼ばれて反応が遅れてしまった。

「あっ、ジャーさん待って！」


私はあわただしく客間を退出した。

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