13枠*王としての自覚は何処へ ページ15
ジロ、と別れ際にマスルールが女の子を見ていたのに気がついた。
「…やはり、あの娘が気になるだろう!……お前と同じファナリスとはなぁ…俺も驚いたぞ」
似ているなぁ……っと思っていたけれど、まさかファナリスだったとは。
珍しい、というマスルールは、そのわりにはあまり驚いていなさそうに見える。
ジャーファルもマスルール以外で初めて会ったようだ。
ふとシンドバッドを見ると、何故だか違和感を覚えた。
「あれ、シンさんに何か物足りないような感じがするんですけど…」
改めて見ると、いつもジャラジャラと身に付けているアクセサリー類を持っていないことに気づく。
「本当だ……シン、まさか荷物をすべて盗られたわけではないですよね!」
「盗られたんだ」
冗談半分とも捉えられる問いに、さらり、と良い笑顔で言い張った。
その答えが本当かどうか、私は確かめるように続ける。
「シンさん、今何と仰いました……?」
「盗られたんだ」
私とジャーファルは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった。
「…服以外の……まさか…あらゆる道具まで…!?」
……そのまさかだった。
「シンさん、何してくれちゃってんの!?」
「あんたは…あれがなんだか忘れたんですか…!?」
当の本人は、ははは、と笑いながらダブルお説教を食らっている。
マスルールはその様子を無言で見つめていた。
_
散々ジャーファルに肩を掴まれながら叱られ、それでも尚、大丈夫だと言い張るシンドバッド。
事が重大すぎてジャーファルの口調が昔に戻ってしまっている。
「まったく貴方は…いつになったら王としての自覚が生まれるっていうんですか?」
「シンドバッド王よ!」
…本当に、王には呆れたものだ。
あらゆる道具__金属器を盗られることの重大さを知っているのだろうか。
もう、何事も無いことを祈るしかない。
__これから大変な事に巻き込まれることを、この時の私はまだ知らなかった。
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夢の番人 - とても面白い話しです!見てて好きだなーって思いました!!これからも頑張ってください!応援してます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 94468bca56 (このIDを非表示/違反報告)
れんげ(プロフ) - あまおうさん» 初めまして!ありがとうございます!そういっていただけると、とても励みになります…!これからも頑張ります! (2017年1月19日 21時) (レス) id: 79895c30ee (このIDを非表示/違反報告)
あまおう - あと、初作品なのに地雷踏んでなかったり、わかりやすくてさすがだと思います!笑 このまま是非更新してください!! (2017年1月18日 19時) (レス) id: 85dee18d4e (このIDを非表示/違反報告)
あまおう - いいですね! 設定がとても好きです! 応援しているので、これからも頑張ってください!! (2017年1月18日 19時) (レス) id: 85dee18d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れんげ | 作成日時:2017年1月12日 0時