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No.09_再開 ページ10

割れるように痛む頭

身体中を襲う鈍痛

熱っぽくて苦しい呼吸



?「…A、目を覚まして。」


悲痛に訴えてくる声。

それと共にひんやりとした物が額にのせられる。




___何処かで聞いた事のある声。

___懐かしい優しい声。



薄っすらと瞼を開け、声の主を確認する。




ウタ「よかった…。調子はどう?」

私は 静かに首を横に振った。




昔ならば ウタさんと四方さんに会えた事を喜んだだろう。

___でも、

今は 顔も見たくない。声も聞きたくない。



何より、

会いたくなかった。


私が純粋であったなら、会えた事に素直に喜んだだろう。

___でも、

今の私には、激しい怒りと憎悪の感情しか湧いてこない。





四方「A…昨日、俺たちが話した事を覚えてるか?」

氷水を張ったたらいを枕元まで運ぶ四方さん。

私は 無言で空中を見つめた。



四方「あの話は……俺たちの本心だ。

どうか………真剣に受けとめてほしい。」



私の視線を捉えようと必死な眼差し。



ウタ「僕たちは、嘘をつかない。絶対に。

約束するよ……A。」


優しく微笑んだウタさん。

その手が私の頬をそっと包み込む。







『恋……。


たとえ何があったとしても、この世に一人は必ず自分を助けてくれる人が居るものよ。


その人達の事は 信じなさい。

きっと貴女を助けてくれる。ママのようにね。』



そう言っておどけて笑ったママの顔


お母さんとお父さんの悲しみに歪んだ顔が、交互に頭の中をかすめる。





「……どうすれば いい?」


不意に口をついで出た言葉。

それと共に静かに頬を濡らす涙。




「私は……私は どうすればいいの?」


真っ直ぐにウタさんと四方さんを見つめる。



「何が正しくて 何が悪いのか……


どれを選ぶ事が正しいか、なんて………


私には…わからない…」




ずっと闇の中で独り。

一人で もがき続けてきた。





不意に ふわり、と優しく抱きしめられる。

温かいウタさんの体温。




ウタ「僕たちを信じて。」



四方「約束だ。」


頭に置かれる四方さんの手。






久しぶりの暖かさ。

懐かしい温かさが 私の心を少し溶かしてくれた様な気がした。




「ウタ……四方……


もし 約束を破ったら?」



何年ぶりに笑顔を見せただろう。

何年ぶりに昔の様に名前を呼んだだろう。



その瞬間、二人が嬉しそうに優しく微笑んだ。









ウタ「大丈夫。」







四方「そんな事は絶対にしない。」

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ルイ - 続きが気になりますーー!! 更新頑張ってください! (2017年4月5日 23時) (レス) id: 53cd8612df (このIDを非表示/違反報告)
6月ラビット - すごく続きが気になります!更新まってます (2016年10月19日 15時) (レス) id: 2667482819 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:eve | 作成日時:2016年1月16日 23時

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