【カゲプロ】消える命で伝える言葉【カノ】

ごぉ。 ページ6

あれから何日経ったかな…。

もうよく分かんないくらい、毎日一緒にお話した。


でも、わたしには

しゅうやに言っていない秘密がある。


「Aちゃん？どうしたの？」

『…何でも、ないよ…？』

そんなの嘘。

言わないといけないけど言いたくない。

自分がどうしていいか分からないから

そう言って嘘を吐く。


『それより何か楽しいお話しようよ。』


言えないんだ。

しゅうやが、

しゅうやのことが、

好きだから。


大好きなしゅうやにお別れしたくないから。

だから、言えない。



ずっと昔から

小さな頃から、わたしが病気だってこと。

もう助かる方法もない病気だってこと。


わたしの命が


もう短いって、


あと少しだってこと。



「今日はどんなこと話そうかな。」

楽しそうなしゅうやに

気づかれないように

腕の点滴の跡を隠した。


『そうだね…。何話そっか。』


今日も快晴で

セミは泣き喚いているのに

それでも少しも気にならないのは

どうしてだろうか。


「Aちゃん…？」

『え？あ、ごめん。ちょっと考えてて…。」


おかしい。

しゅうやの声も、セミの鳴き声も

聞こえてるはずなのに、

聞こえない。


手が痺れる。

心臓がうるさい。


「Aちゃん！？ちょっ、大丈夫？」


思わずベンチから立って

地面にしゃがむと、しゅうやの慌てた声が聞こえた気がした。


刹那、視界がグラッと傾いて、

目の前のしゅうやの顔がぼやけて見えた。



消えかける意識の中

最後に聞こえた、あれは









あの声は

ろく。→←よん。

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