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それからしばらくは何もなく過ぎていき、文化祭が近くなった頃。
その日は放課後、飼育委員で花壇の雑草抜き当番だった。
その当番は普通2人組でやるもので、同じ委員会の一松君とやる予定だったんだけど、当の一松君は文化祭のクラスでの準備で来れないらしく私は1人で雑草抜きをしていた。
だけど、花壇は広く終わらない。
日が陰ってきて少し肌寒い。
やめてしまいたいが、きっと中途半端な今やめたら委員長に一松君と怒られるんだろうなぁ、なんて考えていると、「最終下校時間なんだけど」と聞き覚えのある声が後ろからした。
振り向くとそれは、チョロ松君で。
「え、嘘…もうそんな時間?」
「これ。先生が校舎閉めるから持ってけって言われたから」
チョロ松君が渡してきたのは私の鞄。
「あ、ありがと…」
「いくら委員会でも女子なんだから早く帰らないと危ないんだから気をつけてよ」
「ごめんね…」
「分かればいいんだけど…」
帰るよ、とチョロ松君は先を歩く。
私はそれを追いかけた。
たまたま帰る方向が同じだったらしく、チョロ松君はわざわざ家まで送ってくれた。
チョロ松君と同じクラスになった事のある私の友達が、チョロ松君は無愛想だとか、感じ悪いとか言ってたけど、行動とか話したりしてみると全然そんなことなくって。
凄く優しくって。
それからも飼育委員とか文化祭の準備で遅くなって帰りが同じ時間になったらチョロ松君はお家まで送ったりしてくれたりして、
気づけばチョロ松君の存在はよく知らない人から、私に良くしてくれる人に変わっていた。
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作者名:ソイみるく。 | 作成日時:2017年9月19日 21時