喰種 30 ページ33
絢都side
貴 「あ............や........と........」
自分の名を呼ぶ か細く弱々しい声に、俺は思わず手を止めた。
長く綺麗な銀髪を苦しそうに乱し、浅い呼吸を繰り返すA。
俺は“本来の目的"も忘れて、美しいその姿に見惚れてしまった。
絢 「..........アンタは、狡い奴だよ。」
首を締めていた手を離して床に降ろしてやると、Aはひどく咳き込んで、俺を見上げた。
貴 「何、が.....狡いって....言うの?」
首を締められていた反動か、自然と涙目になっているA。
乱れた銀髪といい涙目といい、俺を試すようなモノばかりだ。
絢 「全部だよ。アンタの全てが狡い。」
俺はそう言って、精一杯の余裕で妖しく笑った。
*
俺とAの出会いは、最初は俺の一方的なものだった。
Aが名前も知らない他の喰種と戦っている場所に、俺が偶然居合わせただけ。
だが、Aの戦う姿は恐ろしく綺麗で。
______乱れる髪、
大きな赫子は強くありながら優雅で、
爛々と紅く光る赫眼は真っ直ぐな光を称えている。
そんなAを偶然見てしまった俺は、
.......必然的に惚れてしまった。
それから、その名前も知らない喰種と戦い
怪我を負ってしまったAに軽い手当てをしてやったのが、会話の始まり。
相手は甲赫で、俺やAの羽赫とは相性が悪いはずなのに、しっかりと相手を負かしたA。
その圧倒的な強さには、ある意味尊敬も抱いていたかもしれない。
拭っても拭っても血が溢れ出る、細く白い脚。
軽く手当てしてやっただけなのに、血に濡れたその顔を笑顔にして
貴 「ありがとう。」
.......なんて言う姿に、柄にも無く胸が疼いた。
名前を教えた時には、
貴 「トーカ.....?」
と小さな声で呟いて。
俺がぶっきらぼうに返しても、何故かAには真意が分かるらしく、何度も不思議な気持ちになった。
そんなこんなで、気付けば強く惚れていて。
________実は、
今回Aの学校の奴を適当に捕まえたのも、
Aを傍に置きたい俺がアオギリに頼んで許可してもらい、
その上で降りた、Aを捕獲しろという上からの命令の下だった。
だから、Aの事は極力傷付けずに、アオギリに連れて行かなければならない。
これが、今回俺が担う、私情を挟んだ仕事だった。
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雪 - 続きが気になる...!更新待ってます(*´∀`*)あと、応援してます♪ (2014年12月27日 0時) (レス) id: 29e8cf317e (このIDを非表示/違反報告)
こっくり - 数学めんどくさいですよねーw私も破壊的でした(´・ω・`)あとロストワンの号哭ですよねww (2014年11月24日 11時) (レス) id: d9cdb37fc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんな@黒兎(クロト)(プロフ) - 星衣さん» はあ!?だれかいけめんだよ! (2014年10月22日 20時) (レス) id: 8a07671cb3 (このIDを非表示/違反報告)
凛雨蜜柑(プロフ) - OK(`・∀・´)dじゃここでめっちゃ話すわwwww膝はサポーター&湿布を毎日wwそしてテスト数学と社会が40点代\(^p^)/ (2014年10月20日 17時) (レス) id: 2f426c000f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 私もテスト壊滅的ですよ?地理なんて絶対30点以下取りますから習ってるはずの英語も満点なんて取れそうにないし… (2014年10月20日 6時) (レス) id: 501caf2dfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星衣 | 作成日時:2014年7月24日 9時