喰種 22 ページ25
貴方side
______ひとしきり二人で泣いて、だんだんと私もさつきも落ち着いてきた頃。
桃 「......じゃ、そろそろ帰るね。」
そう言って、来た時よりかはかなり良い顔色で微笑むさつき。
その微笑みは、嘘や欲といった汚い感情が全く無い、純粋無垢な表情だった。
貴 (....綺麗な笑顔だな......)
外見だけじゃない、中身まで綺麗な人にしか出来ない、
“本当の綺麗な笑顔"。
私には絶対に出来ない表情であり、そしてそんな表情を守るのが私の役目だと自分でも分かっていた。
貴 (だから、)
過保護とは分かっているのだが。
貴 「 家まで送るよ。」
これが、今の私に出来る精一杯の“笑顔の守り方"。
これ以上の方法は、頭の硬い私には思いつかない。
*
貴 (だからせめて、)
貴方が無事に幸せな家庭に帰るまでは____
貴 「___守らせて。」
そう言ってさつきを見据え、静かに微笑み返す。
“嘘"に塗れた私だが、さつきを守りたいという心だけは、決して嘘ではない。
これだけは、さつきに対して唯一言える“真実"だった。
*
そして、さつきは。
桃 「____.....
........ありが、とう。」
私の表情に何を思ったのか、私の顔を見つめて数秒黙り込んでから
困ったような笑顔でそう答えた。
貴 「ん。」
あの無言の数秒に何を思ったのか気になったが、私はあえて触れないようにした。
........さつきにだって、隠したい事はあるのだろうから。
*
貴 「じゃ、みんな。少し出掛けてきます。」
送りに行ってくるだけだから、と小さく付け足して、
優しく微笑んで手を振る芳村さんに金木君、
そして“気をつけなよ"と釘を刺してくれているトーカに笑いかける。
貴 「ん、みんなありがとう。
じゃ、行ってきます。」
行こうか、さつき。
そう言って、芳村さん達にぺこりと頭を下げたさつきの手を引く。
桃 「優しくて良い人達だね。」
ふふ、と微笑んで私の手を握るさつき。
貴 (さつきも充分優しくて良い人だよ。)
そう思いながらも、口には出さず。
その代わりに無言で微笑み、静かな夜の街を歩き出す。
胸に広がる優しさを、深く感じながら。
*
そしてこの時、私達に重大な危機が迫っていたなんて。
この時の私には、想像も出来ない事だった。
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雪 - 続きが気になる...!更新待ってます(*´∀`*)あと、応援してます♪ (2014年12月27日 0時) (レス) id: 29e8cf317e (このIDを非表示/違反報告)
こっくり - 数学めんどくさいですよねーw私も破壊的でした(´・ω・`)あとロストワンの号哭ですよねww (2014年11月24日 11時) (レス) id: d9cdb37fc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんな@黒兎(クロト)(プロフ) - 星衣さん» はあ!?だれかいけめんだよ! (2014年10月22日 20時) (レス) id: 8a07671cb3 (このIDを非表示/違反報告)
凛雨蜜柑(プロフ) - OK(`・∀・´)dじゃここでめっちゃ話すわwwww膝はサポーター&湿布を毎日wwそしてテスト数学と社会が40点代\(^p^)/ (2014年10月20日 17時) (レス) id: 2f426c000f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 私もテスト壊滅的ですよ?地理なんて絶対30点以下取りますから習ってるはずの英語も満点なんて取れそうにないし… (2014年10月20日 6時) (レス) id: 501caf2dfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星衣 | 作成日時:2014年7月24日 9時