38.今、会いたい ページ38
正宗「A、君は誰の秘書だ?私の秘書だろう?君の商品価値は私をサポートしてこそだ。聡明な君にはどういう意味かわかるだろう?」
正宗は笑いながらベッドに歩み寄ると、グイッとAの腕を掴んだ。
正宗「さぁ帰ろう。」
黎斗「待て!」
正宗「勘違いするな、黎斗。Aは私の作ったバグスターだ。お前の為に作ったのではない。」
そう言って正宗はAを連れて消えた。
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幻夢コーポレーションの社長室で椅子に座った正宗が無表情で前に立つAを怒りの目で見上げた。
正宗「A、どう言うつもりだ?西馬ニコを助けただと?」
A「申し訳ありませんでした」
正宗「 君は私に味方してこそ商品価値がある。もし君に商品価値が無いと判断したらどうなるかわかっているだろうね?」
A「はい」
しばらく沈黙の後、正宗は笑顔に戻ると椅子から立ち上がりAの側まで来た。
正宗「A、君は私の開発した商品だが、娘の様な存在だ。君を失いたくはない。私を失望させないでくれ」
A「はい、社長。」
正宗「もう下がっていいぞ」
Aは自分のゲームエリアに戻り立ち尽くした。黎斗に身体の傷は治してもらったはずなのに、心は苦しくて痛みに似た感覚で全身が痛む様に感じる。
自分を怒りで満ちた目で見た黎斗に心が割れ、もう消滅する事は怖くないと思ったはずなのに、ICUの外で倒れた自分を抱き起こしてくれた黎斗に、また愛しいと思う気持ちで苦しくなった。
無意識にそっと伸ばした指は、黎斗を求めていた。
黎斗にもう一度触れたい。
霞む視界の中で見た黎斗にもう一度愛されたいと夢を見た。
気を許せば泣き出してしまいそうで、Aは思わず別のゲームエリアへ自分を転送する。
色んな思いが胸の奥でぐるぐると駆け回る。
また心を閉じてしまえば良いのに、それが出来ない。
泣きたくないのに、思い切り泣きたい。
自分でもどうしたらいいのか分からない程の感情の波に押され、助けて欲しくて、探すのはあの瞳。
「グラファイトーー!!」
あんなにも嫌いだったのは、隠していた本心をいつも見透かされていたから。
でも今は、隠すことさえできない程の苦しさの溢れる心を、それで良いんだと笑って欲しい。
クロノスを裏切られず、黎斗への気持ちをもうごまかせない自分を、笑って欲しい。
だから今、グラファイトに会いたい。
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大崎舞子(プロフ) - kojiさん» 最後までお読みいただきありがとうございます!大好きだなんて、、うれしいです!!大人セクシー路線の黎斗とグラファイト、お楽しみいただけて良かったです! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - Hyuiさん» 皆さんにご理解頂けるか謎過ぎたグラファイトとの関係ですが、ホッとしました! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - moon791さん» いつもコメントありがとうございます!とても励みになりました^_^書けば書くほどグラファイトを好きになって大変でした爆 またどうぞよろしくお願いします! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - 双羅さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!こんな夢主ちゃんを受け入れてもらえるかちょっと不安だったのですが、ありがとうございます!貴利矢も大好きなので頑張ってみます! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
koji(プロフ) - お疲れ様でした!相変わらずの素敵な神とグラファイトにやられます。いつも楽しみで仕方ないです!大好きです!爆 又楽しみにしてます! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 91fefba221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おおさきまいこ | 作成日時:2018年5月17日 17時