『バグスターエモーション』

33.引き金 ページ33

ニコはモータスを猛攻撃で少しずつ追い詰めて行く。

ゲンムとスナイプは容赦なくAに技を仕掛け、流石に1対2ではAに勝ち目は無く、あっと言う間に変身解除され傷付いた身体で地面に転がる。

やっと腕をついて顔を上げたAにゲンムとスナイプがゆっくりと近づいた。



大我「観念しろ。これでお前はゲームオーバーだ」



大我がガシャコンマグナムをAに向ける。

Aは完敗だった。
2人の仮面ライダーに迫られ、ゲームオーバーを覚悟した。

だから、最期に黎斗にだけは本当の心を伝えたくて彼を見上げた。




A「社長、、私は、、」



黎斗「社長？君は私を社長だと思ってもいなかったんだろう！？」




やはりもう黎斗の目は怒りと憎しみでしかAを見てくれない。
変身解除した黎斗はAを忌ま忌ましく睨みながらAの胸ぐらを掴んで無理矢理立ち上がらせた。




黎斗「私を利用し弄んでその心の中で嘲笑っていたのか？！」


A「違います、、！私は、、私は、、」




黎斗はその燃えるような視線もAを掴む手も怒りで満ちふるふると震えていた。

Aはスナイプのガシャコンマグナムが側頭部にガチャリと当たるのを感じた。




黎斗「目障りだ。私の前から消え失せろ！！」




黎斗の叫んだその言葉にAの心はバリンと音を立てて割れた。割れた心の大きな穴から溢れ出すのは、愛しさと悲しさと絶望の濁流。




心は割れた。



黎斗の怒りを目の当たりにし、もう消滅する事に恐怖は感じない。



さっさと引き金を引けば良い。



そう思ってAが目を閉じた時。





ニコ「きゃああっっっ」




モータスに優勢に戦っていたはずのニコが決め技を食らってコンクリートの壁に叩きつけられ、ドサッと地面に倒れこんだ。



大我「ニコ！！！！」


大我はAの側頭部に当てていたガシャコンマグナムをモータスに向けると闇雲に乱射。
モータスは逃げるように消えたが変身解除して転がるニコは微動だにしない。



大我「ニコー！！」



変身解除し慌てて駆け寄る大我は必死でニコを呼ぶが応答はない。



大我「ゲンム！！！救急車を呼べ！！」


黎斗「どうした？？」


大我「決め技をまともに食らった！脈も呼吸も浅い！」



ニコの顔はみるみる青ざめて行く。Aはまだあどけない顔で横たわるニコを見た。
そのニコの顔の上に記憶データの奥底にあった宿主の見た景色が透けて重なる。



A「これは何、、？？」

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