英雄か罪人か/第五話 ページ43
『今宵の『S1』を制したのは、ぶっちぎりの得票数で他を引き離し勝利を掴んだ奇跡の『ユニット』！『Trickstar』だ〜っ☆』
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夢ノ咲は動き出した。
独裁者による圧政……などと名付けたくはないが、そう表現される現状を打破し、全員が均等に評価を得ることのできる未来へ、確実な一歩を進めたのだ。
針の狂ってしまった制度の頂点に立つ彼は、きっと心が失明してしまっている。捨て身で戦ったことで、振りかざしたナイフが自らを血塗れに傷付けたのだろう。
今宵の勝利は、あのとき自傷行為に等しい改革を推し進めた『彼』の手を取る、そんな遠い理想にも踏み出せるものだった。
「朝比奈先輩にも世話になったな。あなたのおかげで掴み取れた賞杯だ、ほんとうに感謝している」
「勝てたのは、『Trickstar』と転校生ちゃんの努力だよ。私は何もしてない」
「朔間先輩と同じことを言うんだな」
小さく笑いを零す氷鷹くんの言葉に、決戦前夜の零さんの謙遜が思い起こされた。でも実際、私がしたのは参加申請の不正やタイムスケジュールの小細工などで、あとは彼らの成果なのだ。
氷鷹くんは落ち着いた態度で、けれど知的な光を宿した瞳には、意を決したような緊張感がある。
「……戻ってこないか、こちら側に。ライブの前、そう言いたかったんだ」
軽い気持ちで決められることではないのは承知している。と、数秒黙ってから早口で付け加えられた。
真っ直ぐすぎて、見透かされそうな目。誰かに似ていると思ったけど、誰だったか。私の中の嫌な部分が全部知られてるようで、嫌じゃないけど、綺麗すぎてすこし苦手な目だった。
「この期間、先輩の働きを見ていて、あなたがプロデューサーとして必要不可欠だと感じた。もし少しでも前向きに考えてもらえるなら、俺が協力したい」
「……ありがとう」
彼が一言発するたび、こみ上げてくる何かがある。それを飲み込もうと目を瞑ると、泣きそうなのを我慢していると思われそうで、たまらず彼の言葉に仮初の強がりで遠慮した。
「嬉しいけど、そんな簡単な話じゃないよ。……気持ちだけもらっとくね」
「簡単かどうかよりも、俺はあなたの意思が知りたいんだ」
力を貸した後輩の駄々を、易々と受け入れるわけにはいかなかった。戻りたくて戻れるものではない。担当したアイドルの多くを活動休止に至らせたという大層な前科で、私はプロデューサーになる道をこの手で閉ざしたようなものなのだから。
そう思っていたから、翌日私の元に生徒会からの“正式な”招待状が届いても、私はさほど驚くこともできなかった。
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更科(プロフ) - あひる様さん» お返事遅れてしまってごめんなさい。読んでくださる方がいる限りは頑張ってみようと思います。応援ありがとうございます。 (2021年5月28日 23時) (
レス) id: 749f88a822 (このIDを非表示/違反報告)
あひる様 - やばい！物凄く！！！好きですぅううううう！！！頑張ってくださいっ！！！！応援してます！！！ (2021年5月20日 23時) (レス) id: fee7c2866e (このIDを非表示/違反報告)
更科(プロフ) - 姉系チート2号（データ消えちまった成）さん» こんにちは。わざわざコメント頂きありがとうございます！今は更新が難しい状況なのですがきちんと書きたいという思いはありますので、ゆっくりお待ちいただければと思います。 (2020年2月3日 11時) (レス) id: 749f88a822 (このIDを非表示/違反報告)
姉系チート2号（データ消えちまった成）(プロフ) - 達筆な文章に惚れました！無理はしない程度に、更新を楽しみにしています！ (2019年12月17日 13時) (レス) id: 41a0229c91 (このIDを非表示/違反報告)
更科(プロフ) - さくぷらさん» さくぷらさま、コメントありがとうございます！返信が遅くなり申し訳ありません…。儚く透明感のある主人公を目指しておりますので大変光栄なお言葉をありがとうございます。ゆっくりになってしまいますが更新頑張ります！ (2018年3月29日 11時) (レス) id: d6f890f9ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：更科 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年11月29日 18時
