謝罪とそれから/2 ページ41
明星先輩達と入れ替わって来たのはRa*bitsだった。仁兎先輩に付き添われ、同級生の三人が私の前に立つ。みんな瞳に不安そうな色を滲ませていたけど、創くんは特に青ざめていた。
「ほら、皆」
仁兎先輩が頑張れ、と声をかける。それが最後の一押しとなったのか、創くんが勢いよく頭を下げた。
「あ、あのっ、ぼく、Aさんに酷いことを……うぅ、ご、ごめんなさい……!」
みるみるうちに涙が溢れてきたかと思えば、ぼろりとそれが溢れ落ちる。一度溢れたそれは止まらないようで、両手で涙を拭いながら創くんは謝り続けた。
気づけなくてごめんなさい、ぼくが馬鹿でした____そんなこと言われたら、私の方が泣きたくなる。創くんが馬鹿なら私はどうなるの?密林から出たことない猿ぐらいの馬鹿??
「オレからも謝らせて!オレ、何にも知らずに怒ってたんだぜ。だから、ごめんなさい。前にに〜ちゃんが「周りの人と同じになるな」って言ってくれて、それで皆がやってることが間違いだって気づいてたのに、どうすればいいか分からなかったんだぜ……」
見て分かるぐらいしょんぼりする光くん。続いて前に出たのは友也くんだった。
「……A。実は俺、薄々おかしいって思ってたんだ。今更、って思うかもしれないけど。けど部長に「自分の信じるものを突き通せ」って言われてから、やっぱりお前を信じることにした。だから、お前が無事で良かったと思う。……でも、何も出来なかったのは事実だ。本当に、ごめん」
皆、真っ直ぐな言葉だった。
……悪かったと認められることが、どれだけ凄い事か。どれだけ勇気の必要な事か。気づかないかもしれないけど、謝れるのは立派なんだ。だから私はそれだけで良かった。
「顔をあげて」
三人は顔をあげる。仁兎先輩が心配そうにこちらを見ていた。そんな彼らに向け、私は口を開く。
「私だって誤解させるようなことしたし、なず先輩も騙すことになっちゃったし、よく考えたら私が変な作戦提案したからこうなったわけで……ああもう、何がいいたいかっていうとね、おあいこなの!」
へ、と声をあげたのは創くんだった。
「だから、私も悪かったしごめんなさい。この件はそれで相殺だから、その……これからも末永くよろしくお願いします!」
最後、深々と頭を下げる。待って私告白した人みたいになってない??
ちら、と視線だけあげると、まず初めにやれやれと言ったような表情で笑う仁兎先輩と目があった。
そして、それから三人と視線が交差する。
「……こちらこそ!」
聞こえたその言葉と笑顔に、嬉しくてまた泣きそうになった。
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べベンべエエェェ - また戻ってきました!この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます!ありがとうございます! (2022年6月9日 23時) (レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。(続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった)寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…! (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です,完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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