【あんスタ】進軍する騎士と爛漫の姫君(1)

変化/1 ページ18

『1-B組、星川A。至急生徒会室まで来い』


次の日。突然の生徒会からの呼び出しに、私は持っていたスプーンを落として、口から昼ご飯のオムライスを吹き出した。

「うわっ……elegantではありませんね、汚いです。近寄らないでください」

たまたま近くを通りかかった司くんが、罵倒モードを発動して去っていく。いやでもこれ本心だよね？さっきの「うわっ」は結構ガチ目なトーンだったもん。

ってそれどころじゃない。今なんて？生徒会室にこい？殺す気かな？私あの部屋にいい思い出一ミリもないからね？

生徒会恐怖症からしてみれば、魔の空間。まあ、ま〜くん先輩と桃李くんはまだ大丈夫な方だけど。その他の皆さんが怖い。特に会長と副会長。

ってあれ、さっきの殺気溢れた声、副会長だったよね？なら、さっさといかないと…

あとで死ぬか、今死ぬか。まさにdead or dead。

……命だけは、助かりますように。









目の前にそびえ立つ生徒会室の扉に手をかけた瞬間、私は立ちくらみがした。帰りたい。いや、頑張れ私！

自分を鼓舞して、力を振り絞って扉を開ける。怖いから目は瞑ったままだ。扉がカチャ、と開いた瞬間、中から冷たい風が吹いてきた。これはまさか、生徒会のオーラ………いや違う、これクーラーだ。めっちゃすずしい。生徒会ずるい。

「もう少し早く来てもらいたいね」

柔らかでいて、有無を言わせない声。これは、

「……エッちゃん会長……」

「あ、そうそう。言おうと思ってたんだけど、そろそろ呼び方、エッちゃんか会長か決めてほしいな。エッちゃん会長って語呂悪いんだよね」

机に両肘をつき、微笑を以て私を見据える天祥院先輩の姿があった。そんなラスボスの周囲に、衣更先輩、蓮巳先輩、桃李くんが並んでいる。
現在ここにいるのは、この四人だけらしい。


「英智。渾名の話をするために呼んだのではないだろう」

長い溜息を吐いて、蓮巳先輩が叱る。

え、渾名の話しようよ！！渾名の話のが絶対楽しいし！ちょっとはすみん先輩、よけいなこと言わないの！！！

そんな願いもむなしく、「そうだね。ごめんね、敬人」と会長は表情を消した。





「星川A。君に、聞きたいことがある」





…………神さま、命だけは助けてください。

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